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Date 2006/05/30(Tue) Author SS1-307 307 名前:■■■■ 投稿日:2006/05/30(火) 20 28 38 [ 2updk7Ho ] 「何も聞かないのかにゃー?」 携帯の電源を切った時、目の前の友人が聞いた。 傷の手当てをしながらこちらを窺うのを見ていると、なんだか聞いたはいけないような気分にふっとなる。 毒されていたとはいえ、自分はまだまだあのレベルに到達していないらしい。 「聞かれなくないんだろ?」 「まっそうだけどにゃー」 けらけら笑いながら立ち上がる。 ふらつく足のまま、扉に手をかけるその背中に、思わず思っていた言葉を吐き出す。 「だけどな」 「ん?」 「俺は——俺達は、少なくともクラスメイトが助けてと叫べば、相手がなんであろうと、誰であろうと助けるぞ?」 一瞬、そいつは驚いたように目を見開く。 ああ、気恥ずかしい。いつもならこんなこと絶対に口にだしてやらないのに。 照れ隠しにおもわず俺が笑うと、にやりと笑い返された。 そして、扉を開くと、背を向けたまま手を振る。 「考えとくぜい」 ばたんという音と共に消えた相手に俺は苦笑して呟く。 「そういうときはありがとうだろうが」
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エリオ・アツェレイの子供達 モンディアル家 フェリオ フェイトさんとエリオの娘、年齢は10歳前後 この若さでストライクアーツ有段者でありザフィーラの弟子(アツェレイやミウラの妹弟子) 父親であるエリオ大好きっ子で父親の前では甘えたがりだけど他の人の前(主にレイツァ)では恥ずかしいのか自重する 生まれた時から一緒だったアクアとは大の親友であり本当の妹の様に可愛がっている ただしアクアに近付こうとする不届き者は自慢の拳で成敗だ! この拳で成敗されているのは主にレイツァなのが悲しい所 ケンカするほど仲がいいといったところか エリオが使える12のISが遺伝している 得意不得意はあるものの制限は無く自由に使えるようだ ただしエリオと同じく複合ISは使えず、アツェレイ独自のISであるダブルカリバーも使えない 同じくザフィーラの弟子にしてストライクアーツを学ぶ仲間であるレイツァとは犬猿の仲 レイツァの実力は内心認めているもののすぐアクアに近付こうとする為容赦なく拳と蹴りが飛ぶ また、ユキハとも仲がすこぶる悪い 主にエリオを巡っての異母姉妹間の攻防が日夜繰り広げられている 「エリオと○○」からのキャラ チビトー トーレとエリオの娘、未来の世界では20代の大人っぽい女性、現代では幼女 モンディアルシスターズの長女でありしっかりもののお姉ちゃん 未来ではちゃんとした名前があるらしい 「エリオと○○」からのキャラ チビチー チンクとエリオの娘、未来の世界では20代の大人っぽい女性、現代では幼女 モンディアルシスターズの二女であり年寄り臭い喋り方が特徴的な女の子、あと胸は控えめ 未来ではちゃんとした名前があるらしい 「エリオと○○」からのキャラ チビノー ノーヴェとエリオの娘、未来の世界では20代の大人っぽい女性、現代では幼女 モンディアルシスターズの三女であり引っ込み思案な女の子 未来ではちゃんとした名前があるらしい 「エリオと○○」からのキャラ チビウー(ウェリオ) ウェンディとエリオの娘、未来の世界では20代の大人っぽい女性、現代では幼女 モンディアルシスターズの四女でありイタズラ大好きっ子 未来ではウェリオと言う名前がつけられておりメカニックとして腕を振るっている、でもアホ 直感的な天才と言われ、理屈はわからないが超高性能なメカを次から次へと作り出す 天才技術屋に不可能は無い! レイテ、カリンとチームを組み夜な夜な正義の味方のようなことをしている 主に新装備を開発するメカニックではあるがライディングボードに乗って現場に出向くのが殆ど と言っても直接戦闘するのではなくボードに金華猫の娘を乗せて移動本部代わりで後方待機 一人で戦うレイテを高みの見物…一応各種装備や武装を後方から転送すると言う役目もある 悪いなレイテ、このボード二人乗りなんだッス 「エリオと○○」からのキャラ チビディー(ディーオ) ディードとエリオの娘、未来の世界では20代の大人っぽい女性、現代では幼女 モンディアルシスターズの五女であり母親に負けないオナニーマスター 未来ではディーオと言う名前がつけられており聖女と称えられるほど完璧な聖王教会シスター しかし本質は(母親に似て)とんでもない変態であり、非常に危険なお父様大好きっ娘 どうにかしてエリオの子を孕もうとさまざまな作戦を実行している 近親相姦?なにそれおいしいの? 「エリオと○○」からのキャラ エリン セインとエリオの娘、まだ赤子 セインやエリオのディープダイバーをそのまま遺伝しているが、まだ赤子の為無意識で発動してしまう事がある うっかりセインが目を離すとその隙に沈んでいく為、聖王教会ではたまに大捜索が繰り広げられるとか そんなエリンも今はりっぱな聖王教会のシスター と言うかアホな母親に比べたら雲泥の差かもしれない優秀なシスターである 真面目な委員長気質で同年代のシスターであるレインとは仲が良い レインと違って裏表ない性格であるが、自分でも気づかないSな部分が少しあるようだ チェーンバインドが得意魔法で、自身は結界魔導師というわけではないがかつてのインターミドル選手、エルス・タスミンに憧れている シオン シグナムとエリオの子供、引っ込み思案で内気な少女でありひ弱なインドア系 ただし両親の才能を一手に受けている為その潜在能力は高く、本気でやったら他の娘の誰よりも強くなる可能性を秘めている 剣術自体は好きだが身体はひ弱な為、体力が続かず基本的に戦いに向かない そもそも娘自身も争いを好まぬ大人しめの性格をしている ただし自分の力量を確かめるような正々堂々とした試合などは嫌いでないらしい 髪の色は赤かピンク、とにかく暖色系 武器は主に大小様々なタイプのソードビットと制御のための魔導書型ストレージデバイス 魔導書型ストレージデバイスは八神家完全監修で製作されたとか 上記の通りひ弱な少女が普通のアームドデバイスを扱いきれない為、 自分で持つには負担が少ない書物型のデバイスと自分で持ち上げ振るう必要がないソードビットに落ちついた しかし接近戦になった時は自らソードビットを持って戦う事もあるとか しかもその方が強いのだが前述の通り体力が無いため、早めに決着をつけるか遠距離、中距離戦に戻さないといけない 召喚系の魔法を会得しており、主に普段の生活に活用されている 召喚魔法を使えるが召喚魔導師と言う訳ではないらしく、特に魔法生物と契約している訳でもない 戦闘時にはソードビットの召喚、敵の傍への逆召喚などを駆使して小型版ゲートオブバビロンじみた戦術をとる さらにはチェーンを召喚しての捕縛やら味方の召喚、逆召喚、転送など応用は色々と利くようだ 戦術がキャロやルーテシアと似ているがどちらが師匠なのかは不明 応用力と戦闘力のバランスが良くかなりの実力があるが、性格的に自ら表舞台に出る事は少ない エリオの持つISの内、フローレスセクレタリーとスローターアームズが遺伝している これはソードビットの遠隔操作と同時多重操作の情報処理に応用されている 特にフローレスセクレタリーは読書にも使えるため使い勝手がよい ただしISを使うとすぐに読み終わってしまうので使うのは資料検索や速読時、戦闘時のみにしており 普段はじっくりと本を読むのが一番好きなようだ ちなみにスタイルは異母姉妹の中でもトップクラスであり爆乳巨尻の持ち主 あのチビチーさえも成長させたエリオ遺伝子が元々スタイル抜群なシグナム遺伝子に過剰反応しここまで成長を遂げた 読書が大好きな為何もする事がないとまず本を読むくらいの読書家、ペンは剣より強し? そのせいでメガネをかけているがこれは雰囲気付けの伊達メガネであるらしい メガネを外しシグナムを真似ているポニーテールを解くと戦闘モードになり、比較的好戦的な性格に変わるとかなんとか 見た目の大幅な変化も相まってまさに別人になるようだ 何よりも本が大好きな性格なので本が沢山ある場所に行くと涙を流して感激するらしい 無限書庫とかレイツァの家(ジータ家の屋敷)とか そのまま読書にふけって戻ってこなかった事があるとか レイツァとは仲がよく、一緒に本を読んでいる事が多い 弟のように可愛がっており、互いに以心伝心だとかなんとか エリル スバルとエリオの子供 赤髪の男の子 人造魔導士と戦闘機人の自然交配による子供ということで一時期注目を浴びる (チビトー達は細胞を合わせて人工的に生まれたので例外) そのため、幼いころに某財団に誘拐されるが仮面ライダーに助けられる そのときの影響でライダーに憧れ今ではバイクを手足のように操って地上の平和に貢献している 能力的にはエリオの遺伝子が濃いのかウィングロードは作れないが チビノーをバイクの後ろに乗せて空中を高速移動したりする 外見はスバルの遺伝子が濃くなったのか周りの姉弟より小さいので結構気にしている 本来は格闘の方が得意なのだが前述の仮面ライダー(仮面ライダーWがトリガーメモリを使用した姿)のスタイルに倣って射撃をメインにしている もっともWの名前や詳細を知っているわけではないためWの本来のスタイル(格闘)とは違ってしまっているのだが… 年齢:16 職業:学生(嘱託魔導士として登録済み) 魔法タイプ:近代ベルカ式 デバイス:ブラストキャリバー 使用可能IS:エリアルレイヴ 体格:ちょっと小柄(男性では平均より小さいが女性よりは多少大きいレベル) 一人称:僕 戦闘スタイル:射撃がメイン(但し、近接戦の方が強い) 変換資質:なし 師匠:リヴァイ デバイス 名前:ブラストキャリバー 元々はウェリオがありとあらゆる環境で走破可能な乗り物をコンセプトに開発したバイク そのコンセプトが気に入ったリヴァイが最高の設備とパーツを用意したことで 文字通りモンスターバイクとなった あのリヴァイですら気合入れないと操作できないレベルはマズイということで 制御用AIを搭載し「ついでにデバイス化するッス」とウェリオの思いつきで バイク型大型インテリジェントデバイスとなった これにより日常の法定速度内は誰でも操縦できるようになったが 戦闘などで一定以上の速度になるとリヴァイしか扱えないのは変わらなかった 唯一使いこなせるリヴァイが立場上滅多に動けないので表に出ていなかったが リヴァイに弟子入りしたエリルが地獄の猛特訓(エリオ協賛、元機動六課完全協力)を受け それを突破した記念にエリルへ託された その際にエリルの銃デバイス(当時ストレージ)を改造しバイクのAIと共有することになった (尚、この措置はウェリオの思いつきによる独断である) エリルが持つIS、エリアルレイヴの能力を使用することで リヴァイしか扱えなかったバイクの能力を充分に引き出せることとなった 通常時は青系の装甲を付けたオンロードバイク 戦闘などの有事は追加パーツにより本来の性能が発揮される オフロードバイクへの変形機能を持っており、その時は前輪と後輪の幅が縮まりバイクの車高が高くなる オンロードバイク時は速度に優れている 逆にオフロードバイク時は馬力と小回りが利くようになる 性格としてはエリルを公私共にサポートするお姉さんタイプ 多少からかったりしたりするが基本的に真面目なツッコミ役 当初は内心エリルを認めていなかったようだが… ・銃デバイスについて 拳銃型デバイス 待機状態は腕時計型 ティアナのクロスミラージュのような複数の形態は持っておらず拳銃型のみである これはエリル自身が母親譲りの挌闘技能を持っていることから 接近戦用のダガーモードは不要と判断 変形機能は無い分、射撃時の能力補正の向上に重点を置いた 通信遮断されていないなどの条件はあるがバイクを無人で無線誘導させることも可能 但し、走らせるだけであり複雑な操作は出来ない ラーク エリオの子供ではないがエリルの友人なのでここに記載する(乱数でキャラ作成により出来たキャラ) 性別:男 体格:ショタっぽい小柄 髪の色:青 髪の長さ:長め 魔法適正:古代ベルカ式 魔力量:71(1~100で100に近いほど高い、71は平均よりは多い) 技能値(1~100で100に近いほど高い) 近接:12 射撃:37 支援(回復、強化):77 特殊(召喚などの特殊系):26 出身地:地球 年齢:18 レアスキル:魔力浸透 ・魔力浸透 他者に対する魔力行使をほぼロスなく行えるスキル 一言で言えば防御無視 その為、回復や強化を相手の状態関係なく 100%のパフォーマンスで行える 攻撃も魔導士相手なら防御無視で行えるが 攻撃系スキルはほとんど駄目なので 防御無視でもほとんどダメージにならない 浸透し易いがその分、魔力が抜けるのが 早くなるので強化は持続時間が短く、 回復は外傷はすぐに治せるが骨折などの 回復に時間がかかるものは通常より多く魔力を使う 好感度(一家別:1~100で100に近いほど高い) モンディアル家:86 八神家:30 フッケバイン:36 フロニャルド組:24 スカリエッティ家:17 好感度(モンディアル家:1~100で100に近いほど高い) フェリオ:3(あったことがないのでよく知らない) エリル:98(親友) エリン:36(男なので好きじゃない) ルリ:5(会ったことがないのでよく知らない) 使用可能魔法:守護獣作成 デバイス:ナイフ型 友人であるリンディが地球に定住したことから 同様に地球へ定住した古代ベルカ式継承者の両親から生まれた子供 地球生まれ地球育ちだがミッドチルダなどの次元世界も知るべきと 以前リンディ経由でエリオ、モンディアル家へホームステイした過去がある ラークの守護獣 名前:シャル 性別:メス 種族:サメ 魔法適正:古代ベルカ式 技能値 近接:73 射撃:99 支援(回復、強化):90 特殊(召喚などの特殊系):65 体格(人間時):長身 肌の色(人間時):肌色 髪の色(人間時):黄色 体型(人間時):巨乳巨尻 ラークが支援に特化した能力の為、前衛を欲していたところ、偶然死にかけたサメを見つける サメに守護獣の作成を行ったところ、持っていたレアスキル『魔力浸透』が影響し 通常では有り得ない程強力な魔力パスが繋がったことで 主以上の強さを持った強力な守護獣が誕生してしまった その為、シャルは得意の射撃をメインとした全力戦闘を行うと 主の魔力が根こそぎ奪われて約30秒で主従共に動けなくなってしまうので 通常時は近接戦闘を仕掛けトドメのみ射撃で確実に仕留めるスタイルで戦っている カリオン・M(モンディアル)・フッケバイン カレンとエリオの子供、通称リオン エリオに次ぐ高濃度のエクリプスウイルス感染者の少年、未来組では最高値 もっとも性格はエリオに似たのか穏やか、あくまでフッケバイン一味としては、だが 肉体変化についてはエリオを超えて(文字通り)化け物じみている 具体的には身体から鋭い骨を生やしたり皮膚を硬質化させたり腕を伸ばしたり巨大化させたり… 未来において封印を破り復活し、なんだかんだでフッケバインに入った妲己が師匠となりカリオンを鍛えている ちなみに性の修行も…らしい それに関連してリーファ、エルナとも日頃から性交している 前者は逆レイプ、後者は誘われて拒みきれずに、が多いらしい …やはりエリオの息子だ 病化特性は「吸収適応」 生物の遺伝子情報を吸収し自身に適応させて強化できる 強力な能力に見えるが情報を吸収するために対象者への接触する場合、約1分かかる 血液や肉などを摂取して吸収する場合はかなりの量を必要とする また、能力使用後は完全に適応するまで燃費が著しく悪くなるので 最低1週間、最高で1ヶ月はすぐに空腹になるので常に食べていないと動けなくなる 吸収できる能力にも限界があり、使えるようになった最初の頃にエリオの能力を吸収しようとして 限界を超えたために死にかけたこともある 元々エリオの血筋で燃費が悪いのに能力で更に悪化したことで 食糧事情を一手に引き受けているエルナには頭が上がらない リーファ サイファーとエリオの子供、ヤンデレ気味な女の子 親しい人からはリファと呼ばれている フロニャルド組 ミルフィオリ ミルヒオーレとエリオの子供、通称フィオ 歌と両親が大好きな少女、幼馴染のリクとはとても仲が良い 「紅の歌姫」の異名を持つビスコッティの歌姫であり、戦にも出ることがある 普段はおとなしい少女であるが、意外に積極的だったり頑固な面も 特にリクを狙うリエに対しては厳しく、実力行使も辞さない ハンマーを振るいヴィータから習った技で変態を吹っ飛ばす、誰が呼んだかヘンタイスレイヤーフィオ 変態殺すべし、慈悲はない 「エリオと○○」からのキャラ リクエール エクレールとエリオの子供、通称リク リエッタ リコッタとエリオの子供、巨乳と長身を白衣に包んだ天才お姉さん、通称リエ 母親と並び立つビスコッティの頭脳であり穏やかで優しい性格と人気は高い しかし皆に隠し通しているその性癖は、ショタコン・ブラコン・淫乱と三拍子揃ったド変態なのであった その毒牙は主にエクレ子に向けられており、その幼い性を翻弄する日々を送っている(主に逆レイプで) さまざまな発明品で多様なプレイを実現させているが一応避妊はしっかりしているようだ その秘密を唯一知っているミルヒ子がエクレ子を守ろうと活動しているため対立している が、何はともあれ(変態だが)兄弟姉妹は大切に思っているので本気でミルヒ子を倒したりはしない 発明品には色々と危険なものや有害なものがあるようだが科学者としての一線は越えていない、リコッタの教育の成果だろうか リコッタのことは母親として先輩として尊敬している なお体格差から初対面の人には親子ではなく姉妹と見られてしまうことが多い、もちろん姉がリエッタである 最近はウェリオと共同で大型時空転移装置を発展させ、デンライナーを開発したらしい ユキハ ユキカゼとエリオの娘、外見イメージはFate/EXTRAのキャスター フェリオに負けぬエリオ大好きっ子な為、異母姉妹であるフェリオとは仲が最悪 と言うかエリオの事が好きな女性相手に例外なく呪殺しそうな空気を出している それが例え母親(ユキカゼ)でも容赦なく手を下しそうなのが怖い、これがヤンデレか! お父さまと二人っきりになるためなら紋章術での拉致でも何でもやりかねない 名前を漢字にするとしたら「雪葉」、もしくは「雪羽」だろうか フロニャルド最強の紋章術師と呼ばれ、さらに魔法にも長けている さらに今まで存在しなかった「魔力変換資質・輝力」を持つ ちなみにこの変換資質はレオナも持っているためユキハだけの能力ではない ユキカゼは何気にフロニャルド組で最初のご懐妊、レオ閣下も姫様もこれには度肝を抜かれた 「エリオと○○」からのキャラ シュリ&キオ ダルキアン卿とエリオの息子で双子の男の子 外見イメージは明るいユーキ?(そっちはそっちで犬耳犬尻尾のハス太なんて言われるが) 大陸最強の剣士とビスコッティの勇者の子供だけあってその才能はとてつもない しかもダルキアン卿が封魔の剣士としての技術や知識を受け継がせようと毎日稽古をつけている なので現時点でもかなりの戦闘力、ただし経験不足からか搦め手には弱いようだ しかしまだまだ子供なので封魔の使命とかは置いておいて、今は単なる父さま母さま大好きな男の子である 見た目がそっくりなのでダルキアン卿とエリオ以外では外見でどっちがどっちか判断できないとか 一応仲が良い友達などは外見以外の要素で見分けられるようだ、ミナとかルリとか あえて見分けをつけるならば兄のシュリが活発で元気、弟のキオが多少おとなしい性格 二人とも「~です」「~なのです」といったしゃべり方をする おそらく母親の友人の某英雄王からうつったのだろうか 普段はダルキアン卿に稽古をつけてもらっているがエリオが居る場合はそっちの方がいいらしい 武器は選ばないが母譲りの剣と父譲りの槍がお気に入り 主にシュリが剣(刀)、キオが槍を使っている ただしエリオは常にフロニャルドに居るわけではないので剣の稽古の方が多くなりがち ユキハとは生まれた時から一緒に居るので本当の姉弟のように姉さまと慕っている レオナ レオンミシェリ(閣下)とエリオの娘、銀髪のショートカットが美しい美女 閣下譲りの豪快でさっぱりした性格とエリオ譲りの気配り 性格はぜんぜん違うがユキハとは仲が良いらしい、どうもユキハの方が年上だとか 叔父のガウルが師匠なため、獅子王双牙などの技が使える 魔力変換資質・電気を持っているため、バリエーションとして獅子王雷牙など電撃系の技も使えるようだ 師匠の一人称に影響された結果かは不明だが俺っ娘である あの閣下の娘だけあってスタイルの良さは折り紙つき、エリオの娘全般に言えることだが ヒカヤに惚れているらしい、ヒカヤも満更ではなさそうではあるが… 「エリオと○○」からのキャラ ルリ ルージュとエリオの娘、フロニャルドに愛された少女 ルージュのメイドとしての技術を仕込まれており、まだ幼いながらにメイドとしては一人前である 誰にでも優しく接する穏やかな性格、ただし少々ドジっ娘の面がある だがそのドジはあらゆる状況で必ず良い方向に向かうので特に問題は無い この事からわかるようにルリは人知を超えた超絶強運少女でもあるのだ フロニャルドの大地の加護を一手に受けており、その加護は別世界に居ても届くほどに強力(ミッドチルダとか) その時々の場合によってその幸運はさまざまな形でルリを守り、幸せになるように働く ルリ自身もそれを「優しくて温かい力」として傍に感じている かと言って自身の強運に天狗になったり悪用したりしないのは生来の心根の優しさと両親の教育の賜物であろう 異母姉妹の姉レオナに憧れを持っており、いつかは専属メイドになりたいと言う夢があるらしい 料理が得意でありよく作っている。食べた相手に幸運が訪れるとかなんとか? ミッドチルダではレイアやオウカ、ミナ フロニャルドではシュリやキオと仲がよい ちなみにルージュがエリオのメイドであるので当然ルリもミッドチルダ在住である 大神龍 元は五星戦隊ダイレンジャーに登場した超巨大神 外見は緑色の龍だが龍形態での全長はぶっちゃけた話地球をぐるっと一周できるくらいにデカイ それなのに二本脚で大地に立つ人型形態だと巨大ロボの数倍デカイ程度にサイズダウンしているという不思議生物 宇宙のどこかで争いが起きると唐突に現れて喧嘩両成敗を取り行う 争う者達を敵味方関係なく消滅するまで攻撃し続けるのが仕事なので当事者達にとっては迷惑極まりない神様 の、はずが何故かルリちゃんに危機が迫るとそれだけでやってくるご近所感覚な超迷惑神 どうやらフロニャルドの大地に愛された存在のルリちゃんを守る為に現れるようだがデカすぎるので敵も味方も迷惑している ルリちゃん自身が争いを望まない為か大神龍が現れても破壊や殲滅はしない(いったい何しに現れたのやら) たまにルリちゃんがおつかいに行くと成層圏の外側に巨大な電柱の着ぐるみを着た大神龍が見えるとか(本人はばれてないと思いこんでいる) 小神龍 どうしてもルリちゃんの傍に居たい大神龍が新たに開発したモード いつのまにか超小型までサイズダウンした大神龍がルリちゃんお手製のドラゴンのぬいぐるみ(着ぐるみ?)に入っている まるでクリスやティオのような自立稼動デバイスのようだ それでもとんでもなく強いのでルリちゃんの(戦闘面の)実力が過大評価されてしまう一因にもなっている 大神龍をデバイスのように使って大人モードにもなれるとかなんとか? さすが大宇宙の意思が生み出した超兵器である(その力の使い道を間違っているような気がするが無害です) 大神龍子(オオガミリュウコ) オウカ ビオレとエリオの娘、いつでも元気一杯な少女 ルリやレイア、ミナと仲が良い スカリエッティ家 アクア クアットロとアツェレイの娘、フェリオの数歳年下で引っ込み思案な女の子 グラビ・プレッシュというISを持ち、重力操作で対象を重くしたり軽くしたりできる フェリオとは生まれた時から一緒だったので本当の姉妹の様に仲がいい お互いを「フーちゃん」「アーちゃん」と呼び合うくらい 最近になってレイツァの事が気になり始めてきた(「あの子どんな子だろう」レベルだけど) 「エリオと○○」からのキャラ レイツァ アルテッツァとアツェレイの息子、色々なチート能力を受け継いだ主人公気質 アルテッツァのISを遺伝しており流水も使える為、こと対人戦においてはとてつもない アクアに好意を抱いているが保護者(仮)のフェリオに毎回邪魔されている為、 お近づきになるどころか名前すら覚えてもらえない (アクアが興味を持った相手しか名前を覚えないというのもあるが) また、母親であるアルテッツァとは生まれたばかりの頃に死別しており写真でしか母親を見た事がない そして父親についても一切知らない為アクアが異母姉弟である事も気付いていない 父親であるアツェレイは存命だったりAGEキオ編のアセムだったりと設定色々だがそれはお好みで 「リリカルなのはStrikerS -囚われた者達-」からのキャラ レイア アルテッツァとアツェレイの娘、父親の無駄な頑丈さを受け継がなかったのかアルテッツァと同じく病弱である 一緒の日に生まれた縁からかルリと仲が良く、よくお世話をされている レイツァお兄様とルリ、読書などが好きな穏やかな少女 実は本来無事に生まれてこれない運命であったが、ルリちゃんと同時期に生まれたことによってその幸運力で今を生きていけているという事実があるが誰も知らない真実である ひいてはレイアとルリちゃんの存在によってアルテッツァもレイツァを生んだ時に死なずに済んでいるということもあるのだが… ルリちゃんマジ因果律を捻じ曲げる存在、しかしややこしい… 「リリカルなのはStrikerS -囚われた者達-」からのキャラ レイン シャンテとアツェレイの娘でありエリンと同じく聖王教会にシスターとして働く若き少女 その若さでありながらとても礼儀正しく真面目で清楚な振舞いを常に心がけているよく出来た女の子でお嬢様と言われれば普通に信じてしまう程 故に教会連中や教会を訪れる人達からはシスターの模範として常に見られているくらい優等生 しかしその実態は夜に世間を騒がす怪盗アストレイ 仮面をつけて正体を隠しボディラインが強調されるレザースーツを身に纏って暗躍する傍から見れば痴女、傍から見なくても痴女 華やかな笑みを湛えることはあっても声に出して笑うようなことはしない 清楚な真面目ちゃんなので肌を見せたがらないのと同義で歯を見せたがらないからだ また誰にも見せないようにして「ニンマリ」と笑うことがあるが、これはアストレイの時の癖 アストレイに変装している時は普段から溜め込んでいる欲求や不満を爆発させているため色々ぶっ飛んでいるのが特徴 (衣装もその表れの一つ) 口調も普段の「ですます口調」より「~~ですわ」とアルテッツァのような口調に変化する ちなみにアストレイに変装中は本来のデバイスとは違う訓練用デバイスを使用しており、形状はレイピア これはマンゴーシュ(パリィングダガー)と同時に扱うことを前提とした選択のため、早い話が二刀流の形を取ることになる 選択基準は「怪盗の身軽なイメージにぴったり」「格好良い」という安直な物 訓練用のため人を傷つけることができないので結構好き勝手に振り回してる むしろただの木の棒やモップなどを振り回し始めたときの方が危ないので注意 ちなみにアツェレイから厨二病が遺伝している為決め台詞を羞恥心無しで叫んだり色々とかっこいいセリフを考えたりもする 早めに完治すればいいのだが… 怪盗として盗みに入った時にレイツァに胸を揉まれてからレイツァとのフラグが立った しかしレイツァよ、それは近親相姦フラグだ! レイテ シャンテとアツェレイの娘、姉にレインを持つ聖王教会のシスター しかしあまり真面目ではなく、かつてのシャンテにそっくりな不良シスターである それでも一応やることはやっているので意外に器用なのかもしれない、でもアホ なんでも完璧にこなす姉に少しばかり劣等感を持っているものの姉妹仲は良い ベクトルは違うものの姉と同じくアツェレイから厨二病が遺伝していたりする しかしその事を除けば兄弟姉妹にも優しい才能溢れる少女 パイルバンカートンファーを二刀(二本?)使った戦闘術を使う 因みに武術を身内に教えてもらうのは気が引けるらしい しかしその実態は夜に世間を騒がす謎の正義の味方「ストレイウルフ」なのだ 一匹狼?迷い狼?まぁ細かいことは気にするな ウェリオ、金華猫の娘の二人とチームを組んでいる そのくせ孤高を連想させる名を名乗るのは「敵は一人だと相手が勝手に勘違いしてくれれば得だから」と言う理由 …いいのかそれで こんなことをしている理由は意外なほどに高い正義感といつか両親と姉を超えるための実戦訓練 チームの(唯一の)直接行動役兼(新装備の)実験台として活躍する日々 ウェリオが開発した戦闘強化機甲鎧「ストレイウルフMk-○」(○には番号が入る)を着込み悪を倒している これは頭部に狼を模したデザインを持つ銀色のパワードスーツであり、元々高いレイテの戦闘能力を底上げしている 正体バレを防ぐ意味もあるのでボイスチェンジャー機能も完備、ただし変更先も女性声ではあるようだ ウェリオ曰くデザインはガリュー+狼+アイアンマン+仮面ライダーだとか チームの頭脳の意向で怪盗アストレイともよく当たるけれども互いに正体は気付かない レインもレイテも根本的なところで抜けている…のはシャンテとアツェレイの娘だからか エルナ アルナージとアツェレイの子供、フッケバイン一家を支えるお母さん役 ノートゥング ジークリンデとアツェレイの子供、通称ノート カリン 金華猫とアツェレイの子供、アクアと同年代のクールな少女 と言うよりも年のわりに冷めている、世の中を斜に見ていると言った感じ 天然な母親とスットコドッコイな父親を見て育ったからであろうか かと言って両親の愛を受けていないわけではないので元々そういう性格なのであろう 人付き合いは無難にこなしているので学校でも友達は多少いるものの深い付き合いは無い 美しい金髪をショートカットにしているため、これだけだとフェリオに似ているかもしれない 金華猫のキメラの血が薄まって入っているので常人よりは高い身体能力が、そしてアツェレイからはレイストームのISが遺伝されている びっくりした拍子に猫耳や尻尾が出てしまったりするが、それに関してはやたらと恥ずかしがる 本当はとても甘えたがりな少女なのだが普段はそれを見せない 甘える相手はアツェレイや金華猫、たまにレイテだが二人っきりのときだけである レイテ、ウェリオとチームを組み夜な夜な正義の味方のようなことをしている 意外なことだが本人が発案者である、なにやら目的があるらしいのだが? 怪盗アストレイを狙っているのも関係があるのだろうか チームの頭脳としてオペレートを担当するが二人からは「ねこにゃん」と呼ばれ可愛がられ(からかわれ?)てしまう 口癖は「バカばっか…」、どこかで聞いたような有名セリフであるが深く考えてはいけない とらでぃすの子供(仮) とらでぃすとアツェレイの娘、昔のとらでぃすそっくりな無口少女、とら子 猫娘友達のカリンが大好き、少々危険なレベルで…しかし誰も気づかない しかし母親のとらでぃすは全身機械の戦闘機獣であるし、そもそも男のトラディスと同一の存在であるし、生まれた経緯が結構謎な少女である 母親からISシュバルツを遺伝している上に能力が強化されているらしい 具体的には尻尾の液体金属を固体や液体以外に気体にも変化させることができる アツェレイ爆発しろ アツェレイ・E・スカリエッティ(イリス) エリオとアツェレイの子供、何の因果かエリオとアツェレイの遺伝子を合成して生み出されたキメラ 生み出したのは勿論レイム、何だか妙にノリノリでやってくれたぞ! ミドルネームの「E」は「エリオ」の事を指している 大嫌いなアツェレイと同じ名前なのが嫌で普段はイリスと名乗っている(アツェレ「イ」・エ「リ」オ・「ス」カリエッティ) 虹の女神の名前であるが、アツェレイには「ガメラを追い詰めた怪獣」と言われたり邪神扱いされる そんな事を言うアツェレイは即殺されるが(もちろん造形が崩れたフィギュアではない) 性格はドS寄りの様でエリオ大好きアツェレイ大嫌いという両極端な少女 アツェレイの13のIS、モヒカンの6(7?)のIS、トラディスのISを全て使え、自身のISも所有している ただしスカリエッティ製でないIS(スバルの振動破砕、アクアのグラビ・プレッシュ、アルテッツァの情報取得のIS) は使用できず、スカリエッティ製であってもサクヤのアンリミテッド・リバースは使用できるかは不明 アツェレイと同じく複合ISも使え、モヒカンとトラディスのISも複合できるのでバリエーションは更に多彩 自身のISは「オールデュアライズ」 効果は自身が持っている(オールデュアライズを除く)全てのISをデュアルISとして発動できる もちろんデュアル化せずに発動もできる 素の状態でデュアルISが使え、更に複合ISをデュアル化でき、 キメラとしての身体能力(動物型よりは劣るが)も持っているとまさにチート ただしデュアルISの効果時間はオリジナル(エリオ&アツェレイ融合体)より短く、身体と脳に多大な負荷が掛かる そのため強力ではあるものの対抗手段が無い訳ではない
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Eternal Breaker(斑鳩 柳也のSS) エリオと○○ 管理局X-FILEシリーズ 機動六課の「」 局員達のどうでもいい話 査定官シリーズ 新婚なの! 少数派シリーズ 世紀末機人伝説 ナンバーズ寮の管理人 Fallen Angel 魔法少女リリカルA&S 魔法少女リリカルF&B 魔法少女リリカルジュエルシリーズ 魔法少女リリカル春風 魔法少年リリカルユーキ 夜天王はやて 「Lack」の商人 リリカル異聞録「神隠し」 リリカルなのはStrikerS -囚われた者達- Eternal Breaker Eternal Breakerの用語集 エリオと○○ エリオと○○の用語集 管理局X-FILEシリーズ 管理局X-FILEシリーズの用語集 機動六課の「」 機動六課の「」の用語集 局員達のどうでもいい話 局員達のどうでもいい話の用語集 査定官シリーズ 査定官シリーズの用語集 新婚なの! 新婚なの!の用語集 少数派シリーズ 少数派シリーズの用語集 世紀末機人伝説 世紀末機人伝説の用語集 ナンバーズ寮の管理人 ナンバーズ寮の管理人の用語集 Fallen Angel Fallen Angelの用語集 魔法少女リリカルA&S 魔法少女リリカルA&Sの用語集 魔法少女リリカルF&B 魔法少女リリカルF&Bの用語集 魔法少女リリカルジュエルシリーズ 魔法少女リリカルジュエルシリーズの用語集 魔法少女リリカル春風 魔法少女リリカル春風の用語集 魔法少年リリカルユーキ 魔法少年リリカルユーキの用語集 夜天王はやて 夜天王はやての用語集 「Lack」の商人 「Lack」の商人の用語集 リリカル異聞録「神隠し」 リリカル異聞録「神隠し」の用語集 リリカルなのはStrikerS -囚われた者達- リリカルなのはStrikerS -囚われた者達-の用語集
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Hero s side Episode 第1話「カオスエメラルド」 ~あらすじ~ カオスコントロールを起こしてなのは達のいる世界に飛ばされてしまったソニック。 フェイトとのレース勝負で負けてしまったソニックは管理局に連れてこられた。 そしてソニックがとった行動とは…? Episode Hero s side 「で?いつまでこうやってくっついているつもりだ?」 ソニックが尋ねる。 なぜなら、彼の背後になのはとフェイトの二人がぴったりくっついている。 はやてから直々に彼の監視を命令されたので、彼女たちはソニックを監視しているのだ。 しかし、ソニックとしても常に自分の背後に二人が監視しているとなるとちょっと、いや、結構 きついものがあるというか、何というか。 つまり、『自由』ではないのだ。 そのため、どこかに走りに行くこともできず、寝るにしても監視の目が光っているので、満足に 眠ることもできない。 「いい加減にしてくれ!!俺はそこまで危険じゃないってば。カオスエメラルドがないと カオスコントロールはできないんだぜ?」 「でも逆にいえば、それさえ手に入ってしまえばあなたは自由になれるってことでしょう? あなたがいつ、カオスエメラルドを手に入れるかわからないのよ。」 「だーかーら、そのカオスエメラルドがどこにあるのか分からないんだ!」 と、押し問答が続く。そうこうしている内にソニックは自分が食堂にいることに気がついた。 「…では、次のニュースです。さきほど宝石店にて、とてもきれいな宝石が仕入れられたとのことです。 値段はまだ公表されてはいませんが、多くの人々がこの宝石を見るために……」 と、ニュースが流れる。 何気なくそのニュースに目をやる。 「しかし、どうやらこの宝石を狙っている物がいるようです。 ごらん下さい、これが予告状です。内容は… 『前略、わしの名はDr.エッグマン。この宝石、カオスエメラルドはワシが頂く。ホーッホッホッホ!!』 とのことです。」 「!?エッグマン!?」 「誰?知り合い?」 なのはが尋ねる。 「ああ、チョイとイタズラが過ぎるロボットおやじだぜ。…ってことは、この宝石店が危ないな…」 「え?どういうこと?」 「あいつは目的のためなら、なんだってやる。場合によっちゃこの宝石店、無くなるぜ。」 「なっ…!」 二人が戦慄する。 ソニックがこっちの世界に来て早々事件が起ころうとしている。 しかも、彼のいた世界の人物によって。 「どうすれば、止められるの?」 そう聞くフェイト。 楽しくなってきたのか、ソニックはにやりと笑う。 「俺を、あの店へ連れて行ってくれ。絶対にエッグマンを止めてやる。」 その言葉を聞き、なのはとフェイトがうなずく。 おそらく、了承したのだろう。 「わかったわ、ついてきて。」 半分エッグマンのおかげで退屈をしそうにないソニックであった。 なのはとフェイトは車で、ソニックはその隣を走ってついていく。 「あの店よ!」 なのはは明らかに人だかりができている一店を指差した。 そこには、少し、いや、とても太っている人がいた。 「ホーーーッホッホッホッホッホ!!このカオスエメラルドはワシが頂いちゃうもんね!!」 「やめろ!それはこの店で…」 「しつこいなぁ、まったく。ホレ。」 パチン、とエッグマンが指を鳴らす。 すると、どこからともなくエッグマンのメカが現れる。 それは何の躊躇も躊躇いもなく、店員に銃を向ける。 「や、やめ…」 「じゃあの。」 どうにかしなければ、とフェイトは隣にいるはずのソニックを見たが、どこにもいなかった。 「…?」 そうこうしている内に―――――――――― ダダダダダダダダッ と銃声が轟く。 何人が悲鳴をあげてその場にうずくまる。エッグマンの手下が店員に向けて発砲したのだ。 しかし… 「相変わらずクレイジーだな、エッグマン。」 とエッグマンの背後で声がする。 その声を聞いてエッグマンが振り向く。そこには、気絶した店員を抱えたソニックが立っていた。 「ソニック!ま~た貴様邪魔をしおるか!これで何回目じゃ!!」 「さ~て、知らないな。だけど、カオスエメラルドほしさにこんな真似をするのはちょ~っと 危なすぎないか?」 「知ったことか!ワシはこのカオスエメラルドさえ手に入ればそれでいいの!」 「待ちなさい!!!」 せっかく会話がヒートアップしてきたのに、と小声で愚痴をこぼすエッグマン。 その声の主はなのはだった。 「あなたは誰?事と場合によっては強硬手段をとることになるわ。」 「強硬手段?ああ、それには及ばない。何故なら…」 そこでいったん言葉を切る。 周囲は固唾をのんでその先の言葉を待っている。 「もう手に入れちゃったもんね~~!!」 とその手に緑色のカオスエメラルドを掲げる。 「それじゃ、サイナラ~。」 といつも乗っているメカを浮上させて逃げようとする。 その時だった。 「俺を忘れるなよ、エッグマン!!!」 ソニックが駆け出す。 「小癪な~!!お前ら、ソニックを倒しておしまい!!」 と、ロボットたちに指示を出す。 しかし、その命令を実行する前にその場にいた5体ほどのロボットはソニックのホーミングアタックを食らい、 跡形もなく粉々になっていた。 うそーーーーん!と絶叫するエッグマンだが、彼も彼で絶叫している余裕などなかった。 なぜなら、ソニックが高層ビルの壁を駆け上がってきたからである。 ソニックはあっという間にエッグマンと同じ高さにたどり着き、 「ソレ、返してもらうぜ!」 と壁を強く蹴る。 ビビったエッグマンの手からカオスエメラルドをひったくるとそのまま急降下をはじめ、綺麗な四点着陸を決める。 一連の動きに周囲の人々はソニックに惜しみない拍手喝采を浴びせた。 「ぐぬぬぅ~~、ソニックーー!!」 浮上させていたメカを同じく急降下させ、ソニックのもとへ行こうとする。 「それはワシの――――――――――――」 カオスエメラルドじゃーー!と続けたかったのだろうが、それを全部言うことはできなかった。 何故なら、エッグマンの耳元をアクセルシューターがかすめていったからだ。 「これ以上抵抗を続ければ、命の保証はありません。次は当てます。」 なのはがもう一発アクセルシューターを作り出し、エッグマンに当てようとする。 エッグマンはそんな彼女を見て、 「いーよいーよ!!今回は引き揚げるけど、つぎはそうはいかないかんなーー!!」 と半駄々っ子状態で引き揚げるエッグマン。 完全に居なくなったのを確認し、店員に歩み寄る。 「なあ、コレ、譲ってくれないか?」 「これ持ってるだけであいつに狙われるくらいなら、喜んで。」 完全に呆れた顔で了承する。 こうしてソニックたちは一つ目のカオスエメラルドを手にしたのだった。 「これが、カオスエメラルド…」 今回の戦利品、ともいえるカオスエメラルドをはやてに渡す。 「実際の所はシャーリーに聴かんと分からんけど、相当な力をもっとるな。」 「うん。これ、どうする?」 「決まっとるやろ。ロストロギア認定、即没収や。」 「おいおい、ちょっと待ってくれよ。」 我が物顔でカオスエメラルドを手にしているはやてにソニックが突っ込む。 「それは俺達のだって、言ってるじゃないか。」 「だから、誰のかはこの際関係ないねん。重要なのは、これがかなり大きな力をもっとることや。 ここまで大きなものは、誰の手にも渡ったらあかんねん。」 「だーいじょぶだって!俺はこれを操れる。文字通り、カオスコントロールできるんだ。」 「だから…」 と開けない論争をつづける二人。 その近辺でなのはとフェイトは取り残されていた。 「でも、宝石店以外、被害がなくてよかったね。」 「うん、でも、これからはあの宝石を見つけた時はまず管理局に連絡してもらうようにしなきゃね。」 と事務関係のことを話し合っている。 なのはとフェイトは、はやてとソニックを見ながらふと思う。 新しい日常も、悪くはないな、と―――――――――――――。
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第4話 光と闇 人質が乗せられているトラックの扉が開かれる。 差し込む光の中で、ピエロ仮面が銃を向け、立っていた。 「……お前、でろ」 「た、助かった……」 男は嬉しそうに、振り向きもせず、自分が助かることを喜びながら飛び出していく。 男はピエロ仮面にいわれた指示通り服を着替えさせられる。 男はよくわからないようだが、それでも助かるならば…命があればいい。 そんな男を笑いながら見ているジョーカー。男にはその笑いの意味がわからない。 男は腕を背中に回されて縄で縛られたまま、目隠しをされる。 さらに、口にはガムテープを貼られた状態で、ピエロに連れられていく。 ピエロは、男を擬装用のゴミ収集車に乗せて、連れて行った。 揺れる車の中で、男は自分がどこに連れて行かれるのか不安になるが、解放されるというジョーカーの言葉を信じるしかない。 だいたい、もし嘘であり、殺すというのなら、その意味がない。 自分には人質としての価値があるからだ。きっと日本政府の交渉が上手く言ったに違いない。 車が止まり、路上に下ろされる男。 ピエロに目隠しを解かれ、男を置いて路上から去っていくゴミ収集車。 男はそれを横目で見ながら、腕は縄で縛られた状態でよろめきながら、路上に出る。正面から車がやってくる。 男は身体をむちゃくちゃに動かして、自分が人質であることをアピールする。そう、俺は犠牲者だといわんばかりに。 すると、男は目の色を変えてアクセルを踏み込む。男はなぜ?という顔をしながら、車に撥ね飛ばされた。 男の身体はコンクリートに叩きつけられ…動かなくなった。 『…悲劇が起きました。人質の金融商社の取締役が、幕張駅前にて車に跳ねられ死亡しました。 運転手は、人間爆弾と思い、引いてしまったと告げています。引かれた男性からは、爆弾は見つかっておらず…』 『警察は、人質が解放された場合、慎重な対応を求めるようしていますが、都内に住む人の話を聞いたところ、今回の出来事について怖い、逃げてしまう。 同じことをしてしまうかもしれない。という意見が大半を占めており、今後の人質解放では同じようなことが起きる可能性があると予想されています』 『野党議員からは、政府に対して人質の解放のためには、 国民の不安を払拭するのが優先されるべきだと意見を述べ、早朝、夜の外出禁止令をだすよう提言しました。 与野党からもこれについては、賛否両論であり、今後の国会審議が待たれることになります』 右往左往する警視庁、日本政府の対応は、国民さえも動揺させる。 動揺は混乱をよび、混乱は恐怖を生み出す。 疑心暗鬼…誰も信用することが出来なくなる状態。 「アハハハハハハ、楽しいな。あの困った顔、何も出来ず、手も足もでずに見守ることしか出来ないものの顔。 最高だぁ!フハハハハハハ。そうだ、そう…もっと迷え、疑え…そうすれば、この国は、第二のゴッサムになるぞ。 ハハハハハ……お前たちも口が裂けるほど笑わしてやる」 ジョーカーの前にはイスに縄で巻きつけられたヴィヴィオの姿があった。 ヴィヴィオは疲労し、息を漏らし、目には涙を浮かべている。 眠気が襲うが…そうなると。 ジョーカーは、スイッチを押す。 するとイスが振動してヴィヴィオの足の裏やわき腹などをくすぐり始める。 幼いヴィヴィオの皮膚は敏感である。くすぐったさに笑うしかない。 「そうそう、子供は笑わなくては元気になれないぞ?」 ヴィヴィオに対する拷問は、先ほどから永遠続いている。 慣れないように、休みをいれながら、眠りそうになったらこれで強制的に目覚めさせる。 ジョーカーは、ヴィヴィオからなのはやフェイトの正体を聞き出そうとしていた。 だが、ヴィヴィオはそれを拒んだ。ジョーカーにとっては、この拷問もショーの1つ。 幼い子供がどれだけ耐えられるか、見ものだ。 高らかに笑うヴィヴィオを見物しながら、ジョーカーは食事を取る。 ヴィヴィオの目から流れ落ちる涙…。そこにあるのは、なのはママとフェイトママの想いだけ。 日本支社…ブルース・ウェイン滞在先の一室において、ブルースはパソコンを開いていた。 そこに現れるのはブルースの理解者であり有能な執事アルフレッド。 『…ブルース様、ここ最近の日本首都圏内におけるジョーカーの出現地域を追ってみました』 データにだされる出現地域…そして人質が解放された場所をあてはめる。 それらをみながら、ブルースはイスに座りながら息をつく。 『さすがに疲れましたか?』 「…ジョーカーもよくやる。日本政府の、治安の良さを逆に利用している。 日本警察では、この事態を収拾は出来ないだろう」 日本政府は治安が良いためもあり、このような大規模な行動に対しての免疫力がない。 結果、事態を甘く見たために…それはジョーカーの思い通りの混乱から恐怖という連鎖を作り出す。 『例の二人組の女の子でもですか?』 ブルースは立ち上がり、昼間の東京を全面に見渡すことができる窓の前に立つ。 「彼女達は僕とは違う。僕の真似をすればいいというものでもないさ。答えは彼女達が見つけるべきものだ」 彼女達は若く、それにその目には強いものがあった。 あとはそれに気がつけるかどうかである。 心配は必要ない…きっと彼女達は見つけ出せるだろう。 彼女達にはまだ、あるだろう。自分にはないものが…。 そこで窓を見つめていたブルースは、あることに気がついた。 夜と昼…これらで違うもの。ブルースはイスにつくと、あるデータを取り出す。それは電力消費。 あれだけの人間を移送して爆弾の設置を施したりしているのだ。 相当の電力が必要となるはずだ。そうなると…電力消費の高い場所が、ジョーカーの巣となる可能性が高い。 『しかし、日本は、どこも夜になると電力消費は世界でトップクラスの利用が施されています。それらでは、わかりづらいのでは?』 ブルースは首都圏内の地図を見ながら、あるところを見つける。 そこは電力消費量が他と比べても随一である。 「なるほど…、ここか」 『見つけましたか?』 「あぁ、夢の国だ」 ブルースの視線の先…そこにあるのは、電力消費が最も激しい場所である日本の首都圏で最も巨大なテーマパークである。 満月の出る夜… 既に、パレードは終了し、テーマパーク自体の営業は終了している。 それまでの明るい場所とは裏腹に、静まり返る園内。 ゆっくりとその場所を歩く影…。電力の制御室があるのは、園内の中央にある城を模した建物。 ここから園内全体に電力を送っている。 おそらく、ここの電力を使い、爆弾などの製造を行っているのだろう。 これ以上の被害は防がなければならない。本来ならゴッサムだけの出来事…それを世界中に広めるわけには行かない。 再び自分のようなものをつくらせないためにも…。 突然、照明がつく。 遊園地のすべての照明がつき、今まで動いていなかったアトラクションの乗り物が一斉に動きだした。 そして軽快な音も鳴り出しはじめる。 夜の中、光に照らされる黒きマスク…バットマン。 そのバットマンに対して、聞きなれたあの笑い声が聞こえてくる。 「アハハハハハハハハ、蝙蝠男は、光が苦手かな?」 目の前のメリーゴーランドから降り立ったジョーカーはポテトチップスを食べながら、バットマンに向かって歩いてくる。 「不法滞在、誘拐、殺人……それらを含め、お前を捕まえる」 「フフ…アハハハハハハハ。かまわんぞ、どうせすぐに逃げ出す。よく聞け。My Friend 」 ジョーカーは、路上においてあるベンチに座り、バットマンを見る。 「俺は、人間の悪の部分の代弁者に過ぎない。人間は誰しも持っているもの。 憎悪、疑心、それらすべてを俺は解き放っているだけに過ぎない。 それは世界共通だ。お前も見ただろう?あの哀れな男を…。 あれは俺のせいじゃない。あれはお前が守ろうとしているものたちのせいだ。お前が守ろうとしているものが、解き放った人質を殺した。 何にも知らない、解放されたと思った男をひき殺した。 フフハハハハハハ…ハ。そんな奴らを守るほどの価値はあるのか?」 「……全ての人間がお前の言う人間ではない」 ジョーカーは拍手しながら、ポテトチップスを食べる。 「素晴らしい、素晴らしい~なんとも模範的な回答だ」 パリパリとポテトチップスの砕ける音が響く。 「お前は、全ての人間がそうではないという。 しかし、そういった危険性はすべての人間に平等であり、結果…危険性を伴う人間に対して、そうではない人間は巻き込まれる被害者でしかない。 たった一人で、それらを止めることなどできないだろう? 犯罪者は俺が捕まろうがゴキブリのように這い出る。 いや、犯罪者じゃないな。お前が言う『悪』という存在だ。 お前のような人間が頑張れば、頑張るほど悪はでてくるんだ。 永遠に終わることのない、ワルツのように…フフ、フハハハハハハ。 お前のやっている行動は、無意味なのさ」 「少なくとも、お前が今、捕まえている人間の命は救える。それだけで十分だ」 「いいだろう。やってみるがいいさ…少なくとも、人質は俺の手を離れぞ」 「なに!?」 ジョーカーはポテトチップスの袋を、顔を上げて残さず食べ終えると立ち上がる。 「人質の半分は人間爆弾、もう半分は普通の人間。 フハハハハハハ…時間はあまりないぞ?その前に勝手に殺されるかもしれないが…クックック、アハハハハハハハハ!」 ジョーカーは笑いながら、バットマンにナイフを握り飛び掛る。 バットマンはそんなジョーカーの攻撃にスーツの襟首を掴み、投げ飛ばす。 ジョーカーは地面にたたきつけながら、腰をさすり、立ち上がろうとする。 バットマンはジョーカーの背後から捕まえようとするが、 ジョーカーは向かってきたバットマンの片足を、足で挟み込みバランスを崩して倒す。 その上に乗りかかり、ナイフを握り、バットマンの顔に向けて刺そうと力をこめる。 その手をバットマンは、両手で掴んで、防ごうとする。 「あきらめろ!蝙蝠男、お前のやろうとしていることは無意味なんだ! これからはこのジョーカー様がお前の代わりに世の中を見守ってやる」 「っ!」 バットマンは、そのジョーカーのナイフを持つ腕を持ち上げていく。 「往生際が悪い奴だ!!さっさと引退しろ!」 足を曲げ、ジョーカーの胴体を蹴り上げて、体を離すバットマン。 ジョーカーは、蹴られた、胴体をさする。 「フフ……フハハハハハハ」 立ち上がったジョーカーの笑い声はそのテーマパーク中に響きわたる。 高町なのはは、窓の外を眺めていた。 自分のせいで…ヴィヴィオを危険に晒してしまった… 夜の町並みが見える。このどこかにヴィヴィオが…いる。 自分がしてきたとの否定。 今までやってきたこと…フェイトちゃんと戦ったときも、はやてちゃんと戦ったときもそうだった。 戦うことだけが全てじゃない。 戦うその先にあるもの……私はそこでフェイトちゃんや、はやてちゃんと出会えた。 それが……あの人には通じない。その先が暗闇で見えない。 うぅん、その先がない。 そんな相手に、どうやって勝てるのだろうか…。 バットマンが言った自分の面はひとつだけじゃないという言葉。 私の今までなんだったのだろうか…。友達、家族、社会……。 私にとって大切な人たち。それらは…私のことをどう見ていてくれたのか。 「なのは」 お姉ちゃん、お兄ちゃん、お父さん、お母さん… 「なのは」「なのはちゃん」 フェイトちゃん…はやてちゃん。 「なのはさん」 スバル、ティアナ、キャロ、エリオ…… 「なのはママ」 ヴィヴィオ… 私にとって、かけがえのない大切な人たち…。 それは、私が私でいたから…、誰でもない、私という存在でいたから…みんなとこうして出会えた。 私の捕らえ方は人それぞれ…だけど、私のやることは、変わらない。 きっと変えてしまったら、それは私ではなくなってしまうから。 「……フェイトちゃん、私を叩いて」 「え?」 「……お願い、今のままじゃ、私は私が許せないから」 「……わかった。だけど、その代わり、私も…お願い…なのは」 乾いた音とともに赤くなる頬。 「…今まで私たちはこうしてやってきた」 「気持ちも何も変わらず…ずっと」 だから私たちの気持ちも、やり方も変わらない。 私たちの為し得て来た、作り上げてきたものは…決して間違ってはいないから。 それが甘いと言われても良い。蜃気楼のように儚いものと思われても良い。結果はここにある。 たくさんの大切な仲間がいる。頼ってくれる人がいる…強い絆を持つ人たちがいる。 私たちに、足りなかったのは…バットマンのいう強い心。 そしてそれは、バットマンのようになることじゃない。 強い心…それは、自分たちの積み上げてきたものを信じること。 ジョーカーの放つ狂気、そしてヴィヴィオを助け出すためという焦りが…恐れにかわり、 私たちの本来揺ぎ無いものを崩し、それを見失わせていた。 だけど今の私たちにはそれがある。 はっきりと…『自信』を持つことができる。 「いくよ、フェイトちゃん!」 「うん……今度こそ、負けない」 今は前だけ見ればいい 信じることを信じれば良い 愛も絶望も羽になり、不死なる翼へと …蘇る私たちの心 前へ 目次へ 次へ
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機動六課前線部隊初任務――山岳輸送リニアレール奪還作戦は、新人四人の列車突入によって本格的に幕を開けた。 「スターズ隊見参! あたし達を誰だと思ってる!!」 先頭車両側面の壁を突き破り、スバルが雄々しく名乗りを上げる。 突然の侵入者に車両内を浮遊していた無数の楕円型の魔導機械――ガジェット・ドローンが迎撃行動に移ろうとするが、スバルの方が一瞬早く、そして速く動いていた。 右手首のタービンが回転し、魔力の風が螺旋を描いてスバルの拳に集束する。 「リボルバーシュート!!」 怒号と共に、スバルの拳から衝撃波が撃ち出された。 手近なガジェット目掛けて直進する魔力塊は、しかし次の瞬間、まるで蜃気楼のように掻き消えた。 「……あれ?」 間の抜けた声と共に動きを止めるスバルに、ガジェットの放つ光線――ムガンのビームとは違い、恐らくは魔力弾――が殺到する。 慌てて防御陣を展開するスバルの背中からティアナが飛び出し、二挺拳銃の引き金を引いた。 しかしティアナの放った魔力弾も、まるで見えない壁の中に溶け込むように、目標に届く前に消滅してしまう。 「バリア……いえ、あれはフィールド系ね。魔力を掻き消すなんて……!」 舌打ちするティアナと未だ唖然と固まるスバルに――そして最後部車両に突入したエリオとキャロにも――ロングアーチからの通信が入る。 『こちらロングアーチ。解析の結果、今の現象はAMFによるものであると推測されます』 「AMFって……アンチ・マギリング・フィールド!?」 オペレーターの言葉に、ティアナが瞠目したように声を上げた。 AMF――効果範囲内のあらゆる魔力結合を強制分解し、魔法を無効化するフィールド系防御魔法。 ランクはAAA、しかし難易度に反した実用性の低さから使用例は皆無と教本の片隅に補足されていたが……こうして相対してみると、厄介極まりない魔法である。 しかし……ガジェットの光線を防御陣で弾きながら、ティアナは眉間にしわを寄せる。 AMFの効果対象に例外はなく、フィールドの中心にいるガジェットも当然その影響を受けている筈である。 魔導兵器ならばAMFの効果で自身の動力炉も活動を停止し、仮に質量兵器であればそもそも魔法を使えない――常識的に考えて、機械のAMF展開は不可能な筈なのだ。 (ね、ねぇ、ティア……えーえむえふって何?) (取り敢えずこいつらには魔法が効かないってことだけ解ってればよろしい) 念話越しに戸惑ったように声を上げるスバルを一言で切って捨て、ティアナの意識は再び思考の海に埋没する。 機械にAMFは使えない、理論上矛盾しているからだ。 にも関らず、ガジェットは何の問題もなく稼動を続け、しかも自分達に攻撃まで――流石にAMFと両立は出来ないようだが――仕掛けてきている。 どうなっている……無限ループに陥る思考を、しかしティアナは次の瞬間、我に返ったように頭を振って放棄した。 矛盾に悩むのは後からゆっくりやれば良い、今はこの悪趣味な玩具の駆除が先決だ……。 謎は謎のままで良いと割り切り、ティアナは目の前の戦闘に思考を戻す。 敵に魔法は効かない――この時点でスバルは兎も角、自分はあらゆる攻撃手段を封じられてしまっている。 本当にそうか……脳神経ネットワークの迷宮の奥で、もう一人のティアナが疑問の声を投げかける。 敵に魔法攻撃は効かない、そう断定するのは些か早計ではないか? 思い出してみろ……露払いとして先行したなのはは、ムガンに寄生したガジェットを射撃魔法で苦もなく破壊していたではないか。 なのはの撃ち落としたガジェットが、車両内のガジェットと性能的に異なる――例えばAMFを張れないなど――とは考え難い。 AMFを突破して敵を倒す方法はある、自分がガジェットに対抗する手段は存在する筈なのだ。 何だ、何が足りない……ティアナは思考を研ぎ澄ませた。 この状況を打開する最後にして最大のピース、なのはにあって自分に無いものとは一体何なのだ……? 思考のループが螺旋に変わり、ドリルのようにティアナの心を掘り進んでいく。 そして遂に、ティアナは一つの答えに辿り着いた。 そうか……ガジェットへの対抗策を考え出し、ティアナが仲間達に念話で指示を出す前に、 「分かったぁっ!!」 溌剌とした声と共に、スバルがガジェットに突撃していた。 ティアナが思考の海に沈む間、スバルもまたガジェット攻略法を考えていた。 敵に魔法攻撃は通用しない、ならば自分の執るべき手段はただ一つ。 「あたしの魔法が通じないなら――」 吼えるスバルの右手首のタービンが起動し、唸りを上げて回転する。 ……鼓動が聞こえる。 胸のコアドリルが、両脚のマッハキャリバーが、高まるスバルの気合いに合わせて脈動している。 唸る右拳を振り上げ、スバルは最寄りのガジェットに飛び掛った。 「――あたしの拳で叩いて砕く!!」 怒号と共に繰り出されたスバルの拳が、ガジェットの装甲に音を立ててめり込んだ。 無論、素手でガジェットを破壊出来ると考える程スバルも自信過剰ではない。 スバルの拳には魔法と螺旋力の他にもう一つ、奥の手とも言える「力」が秘められている。 インヒューレントスキル――ISと呼ばれる戦闘機人の先天固有技能、鋼の肉体と共に与えられた破壊の力。 スバルがかつて忌み嫌い、そして今は受け入れた「人間でない証」……。 「奥の手発動! 振動――」 雄叫びを上げ、スバルが己の「力」を解き放とうとしたその時、ガジェットの眼――のように見えるレンズ部分――から光が消えた。 そのまま糸が切れたようにガジェットは落下し、ごとりと音を立てて床に転がる。 「ぅえ? あ、あれ……!?」 「嘘……」 火花を上げながら沈黙するガジェットを、スバルとティアナは唖然と見下ろした。 予想外の敵の打たれ弱さ――或いは予想外のスバルの馬鹿力――に、脳が事実の認識を拒否している。 「ティア……」 困惑したような表情を浮かべ、スバルがティアナを振り返った。 助けを求めるような顔で自分を見つめるスバルに、ティアナは咄嗟にかける言葉が見つからない。 しかし次の瞬間、 「――こいつら意外と結構脆いよ!?」 「んな訳あるかぁ!!」 ……あっさりと開き直った親友に、ティアナは力の限りに絶叫していた。 「ったく……馬鹿スバル! ちょっと試したいことが出来たから、段取り整えるまでアタシを守って!!」 二挺拳銃を構えながら叫ぶティアナを、スバルはきょとんとした顔で見つめた。 「……こいつら全部、アタシの必殺技でぶち抜いてやるわ」 「ほほう?」 鷹のように鋭く眼を細め、不敵に唇の端を持ち上げるティアナに、スバルの瞳がキラリと光る。 必殺技……そのフレーズを聞いた瞬間、明らかにスバルの目の色が変わった。 「任された!」 胸を張ってそう宣言し、スバルはガジェット達へと向き直った。 防御陣を全開で展開し、ガジェットの放つ光線の雨を気合いで全て弾き返す。 全ては、ティアナの必殺技を見たいがために……。 ちょろいな……己の相棒の扱い易さに内心ほむそ笑みながら、ティアナは術式の構築に集中した。 射撃型の自分が、攻撃を無効化されて「はいそうですか」などと素直に引き退がることが出来るだろうか? 答えは、否――届かないものを届かせなければ、無理を通して道理を蹴飛ばさなければ、この過酷な世界では生き残れない。 二挺拳銃の銃口の前で魔力弾が生成され、更にその周囲を魔力の「膜」が覆っていく。 なのはの攻撃が通用していたところを見た限り、どうやらAMFによる魔法の無効化には限界があるらしい。 許容量を超えた魔力でねじ込んでやれば、攻撃はAMFを突破して本体まで届く……つまりはそういうことなのだろう。 なのはの場合は恐らく「密度」――膨大な魔力を小さな弾丸の形に圧縮して撃ち出すことで、AMFを貫きガジェットを撃破したのだと思う。 集束系の魔法はなのはの十八番、無意識に魔力を籠めていても不思議ではない。 では自分になのはと同じ芸当が出来るか――残念ながら、答えは「否」だ。 凡人の自分にはなのはのように高密度の魔力の集束は出来ない、なのはのような才能は自分には無いのだ。 力押しの出来ない自分は、だからこうして小細工に頼る……クロスミラージュの握るティアナの両手に力が籠った。 自分はなのはと同じことは出来ない、ならば自分は自分のやり方でAMFを攻略するまでだ。 攻撃用の弾体を、無効化フィールドで消される膜状バリアで包む……フィールドを突き抜けるまでの間だけ外殻が保てば、本命の弾丸はターゲットに届く。 固まれ、固まれ、固まれ……! 一心不乱に念じながら、ティアナは外殻生成に集中する。 ガジェットも、スバルの背中も、そして自分自身さえもがティアナの世界から消えていく。 ただ一つ、二挺拳銃の銃口の前で輝き続ける二つの魔力弾だけに、ティアナは意識の全てを集中させていた。 ……鼓動が聞こえる。 両手に握るクロスミラージュが、研ぎ澄まされるティアナの集中力に応えるように脈動している。 魔力の「膜」が弾体全てを覆い尽し、激烈な光が車両内に満ち溢れる。 「ヴァリアブルシュート!!」 ティアナの怒号と共に二挺拳銃の引き金が引かれ、二発の魔力弾がスバルの脇下を潜りながら撃ち出される。 放たれた魔力弾はガジェットの展開したAMFと激突し、拮抗し、押し戻し、そして遂に突き抜けた。 邪魔な「壁」を突破した二発の魔力弾はティアナの意思に操られ、不規則的な軌道を描きながら次々とガジェットを貫いていく。 フィールド系防御を突き抜ける多重弾殻射撃――自身が小細工と称したその攻撃が、本来AAランク魔導師の技能であることを、ティアナはまだ知らない。 「ティア凄い!」 破壊され次々と爆発していくガジェットを眺めながら、スバルが喝采の声を上げる。 「――必殺技にしては地味だけどっ!!」 「一々一言多いのよ! アンタはっ!!」 スバルの蛇足に猛然と噛み付き、ティアナは疲れたように息を吐いた。 その時、車両に充満する爆煙を突き破り、生き残りのガジェットが二人に突撃を仕掛けてきた。 「「!!」」 迫り来るガジェットにスバルの右拳に魔方陣を展開し、ティアナは魔力弾を生成した。 「ディバインバスター!!」 スバルの咆哮と共に放たれた光の奔流が、AMFの壁ごとガジェットを粉砕する。 もうAMFに順応している……集束砲撃魔法による一点集中突破、なのはと同じく力押しで敵を倒したスバルに、ティアナは思わず歯噛みした。 相棒と自分を隔てる才能の壁に絶望し、親友に嫉妬する自分自身に憎悪していた。 しかし、不貞腐れている暇は無い……ティアナは二挺拳銃の引き金を引いた。 初撃でコツを掴み、デバイスの補助で複数同時生成に成功した多重外殻魔力弾が、残りのガジェットを正確に撃ち抜く。 流石は最新型か……両手に握るクロスミラージュを見下ろし、ティアナは感嘆したように吐息を零した。 使い勝手の良さは折り紙つきの上、弾体生成までサポートしてくれる……優秀なデバイスに頼りきりになるような事態は避けたいが、実戦では心強いことこの上ない。 「ティア!」 感慨に浸るティアナの鼻先に、スバルが突然指を突きつけた。 その指先は僅かに震え、瞳の奥では怒りの炎が燃えている。 「幾ら地味だからって、仮にも必殺技をバンバン連発するのはマナー違反だよ!!」 「アンタは何の話をしてんのよ!? それに地味言うな馬鹿スバル!!」 ティアナには理解出来ない次元で激怒するスバルに、ティアナも怒りを爆発させる。 「大体必殺技なんてものはねぇ、須く劣化してライバルに破られた挙句、最終的には雑魚相手の露払い的な役割しか与えられなくなるのが運命なのよ!」 ギガドリルブレイクなんてその最たる例でしょーと続けるティアナに、スバルは愕然と床に両膝をついた。 「ティ、ティアが苛める……」 「純然たる真実よ」 項垂れるスバルに冷然と返し、ティアナは静寂を取り戻した車両内を見渡した。 これでこの車両のガジェットは全滅……しかしここはまだ一両目、まだまだ先は長い。 そう言えば……ティアナは背後を振り返った。 無人リニアレールの運転席、万が一のための有人制御のための機器が、そこに広がっていた。 窓の外の景色は未だ動き続けている、どうやらガジェットを倒しただけでだ列車は止まらないらしい。 「スターズ04からロングアーチへ」 ティアナはもう一度嘆息し、ロングアーチへと通信を繋いだ。 「先頭車両のガジェットは殲滅完了、しかし列車は未だ運行を続行中。ケーブルの破壊は意味ないみたいです」 『ロングアーチからスターズ04へ。こちらからの遠隔操作にも列車は応答しません。 どうやら戦闘の影響、もしくはガジェットによる破壊工作のために関係機器が無力化されているようです』 オペレーターの返答に、ティアナは思わず「え」と声を上げそうになった。 制御機器の破壊、そんな筈はない。 敵の攻撃は防御陣で弾いて一発も自分達には届いていない、その自分達の背後にある運転席も当然無傷だ。 ちょっと待て、自分は今何と考えた……ティアナは己の思考を巻き戻した。 弾いた――自分達は敵の攻撃を弾いて返したと、自分は確かにそう考えた。 ああそうだ……自分とスバルの今回使った防御陣はシールド系、弾いて逸らすのが基本の防御魔法だ。 では弾かれた攻撃はどこに行く――どこかに当たるだろう。 自分を守っている間のスバルが弾き返した敵の魔力弾の中には、真っ直ぐに跳ね返り撃ち出したガジェットをピッチャー返しよろしく直撃したものも一部存在した程だ。 ごく一部、ごく一部にはそのような稀有な弾丸も存在した……では他のものは? 考えるまでもない、滅茶苦茶に跳ね返り好き勝手に車両内を撃ち抜いただろう。 その証拠にほら、車両中に綺麗な丸い穴が無数開き、天井の穴から降り注ぐ暖かい太陽の光が車内を明るく照らしている……そこまで考えて、ティアナは現実逃避をやめた。 つまりはそういうことなのだ。 どうやら自分達の魔法の選択ミスで、運転席周辺は兎も角他の重要な機器を、不可抗力ながら問答無用で破壊しまくってしまったらしい。 こんなことを素直に報告すれば……どう考えても雷――比喩・実物問わず――や始末書では済みそうにない。 「てぃ、ティア。遠隔効かないのってもしかして……」 (しっ! 黙ってなさい!!) 余計なことを言いかけるスバルを念話で黙らせ、ティアナは再び通信を繋いだ。 「スターズ04からロングアーチへ。状況了解しました。列車はこちらから手動で停止させます」 口早にそう告げて通信を切り、ティアナはスバルへと向き直った。 「……そういう訳だけど、リニアレールの操作ってアンタ知ってる?」 「子供の頃に、ゲーセンで!」 「よしお前何にも触るな」 胸を張って即答するスバルにそう申しつけ、ティアナは運転席へと歩み寄った。 「アンタは先に行ってちびっ子達と合流して。アタシも列車止めてからすぐに追い着くから。 ガジェットの破壊よりもライトニング隊との合流が優先、多少の撃ち漏らしはアタシが片付けるわ」 「それは良いけど……ティアの方こそ、電車の運転なんてどこで覚えたの?」 慣れたような手つきでコンソールを操作するティアナに、スバルが怪訝そうな声でそう尋ねる。 スバルの問いにティアナは手を止め、そして振り返りながら真顔でこうのたまった。 「知る訳ないでしょ? そんなもん」 その瞬間、スバルは音を立てて石化した。 「バイクなら免許持ってるし、次元航行船の操縦も訓練の合間に目下勉強中。アンタの巻き添えで巨大ロボまで動かすことになったけど……流石にリニアレールは想定外よ」 「ちょっとちょっとちょっとちょっと!?」 あっけらかんと続けるティアナに、スバルは狼狽えたように声を上げた。 冗談ではない……スバルは奥歯を噛み締めた。 素人の操作では何が起こるか分からない、突然脱線して谷底に真っ逆さま――という笑えない展開も十分有り得るのだ。 この列車には自分達だけでなく、エリオやキャロも乗っている。 聡明で、しかも仲間思いのティアナらしからぬ無謀な行動に、スバルの頭はオーバーヒート寸前だった。 しかし混乱するスバルとは対称的に、ティアナの瞳には不安も迷いも存在していない。 「大丈夫、何とかする」 力強く断言するティアナに、スバルの心も不思議と落ち着きを取り戻した。 何の根拠も無い筈の親友の言葉を、何故か信用出来るような気がした。 「……信じて良いんだね?」 確認するような響きで口にされたスバルの問いに、ティアナは無言で首肯を返す。 「分かった……」 吹っ切れたような笑顔でスバルは頷き、ティアナに背を向けて出口へとローラーを転がせた。 ティアナもコンソールに視線を戻し、不慣れな制御機器との格闘を再開する。 スバルはエリオ達と合流するために、ティアナは暴走する列車を止めるために――それぞれが自分のやるべきことを、自分のやりたい形で成し遂げるために。 「ティアとなのはさんは似てるって、あたし言ったけど……あれ、撤回するね」 自動扉の前まで足を進めたスバルが、不意にそう言ってティアナを振り返った。 無言で操作を続けるティアナの背中に、スバルは笑いながら言葉を続ける。 「ティアの方が、ずっと大雑把だよ」 そう言い残し、自動扉の奥へ消えいくスバルの背中を、ティアナはミラー越しに見送った。、 「まったく……せめて大胆不敵って言いなさいよ、馬鹿スバル」 遠慮を知らない親友の物言いに嘆息しながら、ティアナはコンソールと睨み合う。 スバルは自分を信じてくれた。 ならば自分はその信頼に応え、何としてでも列車を止めなければならない。 重圧に押し潰されそうになる心を叱咤し、ティアナは黙然と作業を続ける。 リニアレール奪還作戦、ティアナ達前線部隊の初任務は……長い戦いになりそうだった。 天元突破リリカルなのはSpiral 第10.5話「初めて会っていきなりだけど、一緒に頑張ろうね」(続) 戻る 目次へ 次へ
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「はい、じゃあ今日の訓練はここまで」 高町なのはのその声が響くと同時、相対していた四人は漸くに緊張を解き、疲れたように地に伏せる。 ホーリーの訓練場を間借りしてのなのはの教導は現在でも続いていた。流石にミッドチルダの時ほどに施設などに関しては贅沢は言えないが、それでも訓練に使える場所を借りることが出来るだけでも重畳だとなのはは思っていた。 JS事件以降、飛躍的に成長を続ける新人たちはそれこそ未来のストライカー候補とするに申し分の無い素質を開花し始めている。 自分が教えられることは、もはやそう多くはないであろう事を察しているなのはには、それが喜んでいいのか、寂しく思うことなのかは微妙なところだ。 無論、それが喜ぶべきことであるのは分かっている。長く教導官を続けてきて、多くの未来ある才能豊かな教え子たちを空へと羽ばたかせてきた。 教え子たちの巣立ちには喜びと誇りを持つことは許されても、それを厭うことなどあってはならない。 それは自分の元を発ち、己自身の力で空を飛ぶ選択をした教え子たちの誇りを汚すことと同じだからだ。 だからこそ、自分が本来しなければならないことは、旅立つ彼らを誇りを持って見送ること、ただそれだけのはずだ。 だってもう自分がいなくても、彼らは立派に飛べるようになったのだから…… それはこの四人も同じだ。 近い将来、いずれ六課が解散するその頃まではこの子達もまた、立派なストライカーズへと成長を遂げているだろう。 そして自分たちと別れた道の先でも、きっと立派に自身の空を自身の力で飛び続けてくれる筈だ。 だからこそ、教導官として高町なのはがすべき事は、その時までにこの四人を立派に鍛え上げて、来たるべく日には自信を持って送り出してやることだ。 多くの教え子たちにそうしたように、彼女たちにもまたそうしてあげなければならない。 それはちゃんと理解している。だが…… (……出来る事なら、もっとずっと教えてあげていたいし、守っていたい) それが己の我が儘だと十二分に自覚しながらも、そんなことを思ってしまっている自分をなのはは恥じてもいた。 間違いなく、この四人は才覚にしろその精神にしても、長く続けてきた教導官の経歴の中でも最高の教え子たちだと言っていい。 彼女たちを教導できた事を、むしろ自分は誇りに思っているし、自分が教えたことが教え子たちの目指す道の先で少しでも役に立ってくれたなら、これほど喜ばしいこともない。 だが同時に、本来ありえてはならない思考だと自覚しながらも、彼女たちを手放すことを惜しいと感じている自分も確かにいた。 輝く原石であった……否、もう充分に輝き始めている今の彼女たちを、許されることならばこれからも誰よりも近くでずっと見ていたいとも思っていた。 恥ずべき独占欲、それを理解しながらもどこかでそれに言い訳をしようとする自分がいるのが分かり、なのはは自己嫌悪すら正直に抱いた。 分かっている。これはただ彼女たちを羨んでいるだけなのだ。いつか成長し、自分たちに勝るとも劣らぬようになるであろう彼女たち。 これからも彼女たちは成長してどんどん強くなっていく、その果てはまだまだ遠いところだ。 一方で、自分はどうだろうか。全盛時の力を失い、これから先は落ちていくことはあっても上がることは恐らくはないであろう己の実力。 愛娘を救い、教え子たちを成長させていくために選び取った代償。自らでそれを自分は選んだ。ならばそこに後悔は無いし、あってはならない。 この先も、悔いることなくこの選択に殉じる覚悟は既に出来ている。 ……出来ている、はずだった。 それでも、と魔が差している自分がいた。 かつて管理局に入ってすぐの頃、上には上がいるという現実を思い知らされ、それでも強くなろうと我武者羅に足掻いた時期があった。 大切な者を守る為には、力とは時に手段として必要になってくる。だから力を求めて強くなろうと頑張り続けた。 色々あって、ただ我武者羅に無茶を続けることは逆効果であることを痛い教訓と共に覚えたが、それでも力を求めていたあの時に確かに感じていたことがあった。 どんどん成長を続けているのが感じられる、強くなっていることを実感できていたその時、確かに楽しいと思う自分がいた。 力そのものに善悪は無く、振るう者の立場によってそれは決定される……などとはよく言われるが、確かに純粋に力だけを求めていた頃は、楽しくも思えた。 それは教導官となってから他人へと教える立場になってからも、教え子たちがかつての自分と同じように強くなることに自信と喜びを感じられている事を察し、皆同じであるのだと言うことは理解できた。 だからこそ、教導官になって以降も教え子たちを鍛え上げながらも、負けずに己自身もまた鍛え上げ続けることを忘れはしなかった。 そうして全盛時とも言えたあのJS事件前の自分、未だ自分に未熟があることは自覚し戒めながらも、それでもこの自分の力なら、大切な仲間たちや教え子たちを守ることが出来ると信じていた。 でも――― 「なのはさん、どうかしたんですか?」 スバルに呼びかけられ、物思いに耽っていた意識をハッと戻すと共に、慌てて彼女には何でもないと言って首を振るう。 いけない、よりによって教え子の前でこんな事を考えていたなどあってはならないことだと思いながら、皆には先に戻ってシャワーを浴びて着替えて通常任務に就けるよう待機しておくように指示を出す。 指示に従い去っていく四人を見送った後、改めて後片付けを兼ねて一人残りながら、なのはは自身が思っている事をハッキリと口に出して言ってしまっていた。 「……きっと不安なんだ、私は」 全盛時の力は恐らくは最早発揮することは叶わない。無敵のエースオブエースと教え子たちが自分へと抱いてくれた幻想は、それこそ本物の幻想と化した。 だからこそ、これから未知の強大な脅威が教え子たちの前に現れた時、自分は彼女たちを無事に守ってやることが出来るだろうか。 その自信が無い事をハッキリと自覚しているから、こうして不安にもなっている。 大切だから失うのが怖い、離れるのが嫌だ。 だからずっと守っていたい、傍にいて欲しい。 それが依存と呼ばれる弱い考えであることは承知の上だ。もはや彼女たちは充分に強くなったのだから大抵のことに心配を抱く必要は無いはずだ。 だというのに、そんな不安を抱き、あまつさえ彼女たちを侮辱しているとも捉えられる不安を抱いている。 だからこそ、なのははハッキリとこの現実を自覚した。 彼女たちは強くなった。本当に、当初の予想以上に。いつかは自分たちと並び、越えていくほどに。自身の空をその力で力強く羽ばたけるほどに。 反面、己は弱くなった。過去の選択に後悔は無いと謳いながら、力に未練を抱いているほどに。そしてそんなに強くなった教え子たちに、まだ不安を抱き続けているほどに。 魔法少女リリカルなのはs.CRY.ed 第1話 機動六課 「本土からの増援?」 「ああ、何でもお前がこれまでやらかした被害も向こうは無視できなくなったんだろ。それで本土の方から新しいアルター使いがやってきたんだとよ」 君島のその説明にカズマは車の座席に背を凭れさせながら、その情報の内容を改めて反芻する。 と言っても、彼が理解できていることは二つだけだ。 ホーリーに本土から新しくアルター使いどもが配備された。 自分はそれをぶっ飛ばす。 以上の二点、実に単純明快なことに過ぎない。 ホーリーや劉鳳とはケリをいずれ着ける心算だったのだから、横槍を入れてくるようなら纏めて潰す、ただそれだけのことである。 「んな奴ら、全部纏めてぶっ潰してやるさ」 「……纏めて潰すって、カズマ、お前この状況が結構ヤバイって分かってる?」 カズマのその相変わらず過程を省く、単純な思考に呆れながら、君島は相棒の分の危機感すらも余計に感じなくてはならないほどだった。 この話、自分の情報網が掴んだものだから確かなものだという自信がある。だがそれは同時に、本土の連中が自分たちを潰しにかかってくるのに本腰を入れ始めたということを証明しているも同じだった。 先のネイティブアルターたちによる対ホーリー同盟軍は敗北に終わり、救出に向かったカズマの健闘も空しく、寺田あやせをはじめとした多くのアルター使いたちが本土へと送られてしまった。 彼女たちが本土でどんな扱いを受けているか、それを心配すると同時に、ロストグラウンドにはホーリーに対抗しようというアルター使いが大量に減ってしまったという危機的現状もある。 かの惨敗のせいで、今更あの時に召集に応じなかった他のアルター使いを頼ろうにも及び腰のアイツ等は二度と手を貸そうなどとは思わないはずだ。 それはつまり襲われれば局所的に抵抗をする者たちがいたとしても、自ら攻めの姿勢でホーリーへと立ち向かうアルター使いはもういないということだ。 ―――隣で不敵に笑っている、この馬鹿一人を除いて。 「でもよ、相手は組織なんだぜカズマ。個人の力で数を相手に勝とうなんて……アルター使いでもありえないくらい都合良過ぎるだろ?」 この相棒の強さは他の誰よりも君島が一番良く知っている。伊達に長いこと組んで共に修羅場を潜り抜けてきたわけではない。 この男はどんな時でも決して諦めない。まるで不可能を可能にすることこそを義務とでもするように、どんな絶望的状況下でもソレに対する反逆の姿勢を決して崩しはしない。 それに憧れてもいる君島は、この馬鹿でクズで……それでも強いこの相棒と組んで戦える事を誇りに思っている。 けれど、これはもう今までのネイティブアルター同士の小競り合いとは完全に次元の違う話になってきている。 とてもではないが、圧倒的とも思える本土やホーリーを相手に、自分たちが勝ちを収められる姿を君島は想像できなかった。 だからこそ、ここはカズマを説得して逃げるのも手なのではないかとこの時に本気で君島は思ってもいた。 だが、 「だから、逃げんのか?」 カズマが不意に睨むようにこちらを見て言ってきた言葉に、君島は内心を見透かされたのかとも思い、ドキリとした。 今この男が非情に不機嫌な状態であることは君島には即座に察せられた。それこそすぐ殴ってくる男だ、次の瞬間にはこちらに手を出してきてもおかしくない。 「逃げてどうすんだよ、君島? 奴らはきっとどこまでも追ってくるぜ。ならまた逃げるか、このロストグラウンド中をアイツ等に捕まらないように逃げ回り続けろってか?……んなの―――」 瞬間、手を伸ばしこちらの胸倉を掴みあげながら、ハッキリとカズマは睨み怒鳴る。 「―――冗談じゃねえ! ゴメンだね、そんな無様なこと! 逃げてたって何も解決しねえ! 奴らが襲ってくるってんなら、奪ってくるってんなら、戦うしかねえだろうが!?」 勝てる勝てない、やれるやれないじゃない。 勝つしか、やるしか他に道は無い。 「クソムカつくあいつ等に好き勝手やられて我慢できるか! 受け入れるのが運命?………ッハ、だったら―――」 強く真っ直ぐに、それが当然のことの様にハッキリと。 「―――その運命に反逆してやる!……それが俺たちのやり方だろ、君島ぁ!?」 馬鹿はそんな馬鹿な事を言ってきた。 正直、付いていけないのが普通人である君島邦彦が本音としたいところだ。 どんなに頑張っても君島にはアルター能力も無ければ、カズマのような強い考えだって抱き続けることは難しい。 理不尽に奪われるのは悔しいし、抗えるものなら抗いたいと君島だって思っていた。だがそれでも自分は現実に弱く、何の力も持っていない。 カズマのように、強く在り続けることは出来ない。 「……皆が皆、お前みたいにはなれねえよ」 だからこそ、君島はそんな本音を彼から目を逸らしながら告げていた。 絶対にぶん殴られる、その覚悟はしていた。 何せ自分はカズマの嫌う弱い考えを口にしていたのだから……。 だからカズマがそれを許せず、次の瞬間には怒りに任せて拳を振り下ろしてきても、まったくおかしくはなかった。 むしろこの男なら、容赦なくそうすると思っていた。 だが――― 「……そう、かよ」 苦虫を噛み潰すかのような呻き声で呟いたかと思えば、カズマは掴んでいた君島の胸倉を乱暴に離し、そのまま車を降りて背を向けて行ってしまおうとする。 「………お前がそう思うなら、仕方ねえ。好きにしろ……俺も、好きにするだけだ」 振り返りもせず、背を向けたままカズマは最後にそれだけを言って去っていく。 向かう先にあるのはホールドのトレーラー。補給物資の運搬でこの経路を通るのを事前に知り、待ち伏せをしていたのだ。 その待っている最中に、思い留まらせることも考えて先の話題を振ったのだが、やはりカズマは止める気などないらしい。 独りでもトレーラーを襲撃……否、これからも例え独りだろうとも戦い続ける心算なのだ。 それがあの男の……カズマのこの現実への反逆の仕方だとでも言うように。 それを止めろと声をかけることも、その背を追いかけることも今の君島には出来ない。許されない。 一度でも弱い考えを抱き、それを受け入れてしまった。 それはカズマと共に戦う資格を失ったのも同じ。 ただ項垂れるように、何も言えず、背を向け向かう彼の背中を見送り続けることしか今の君島には許されなかった。 ……これなら、思い切り殴られた方がまだマシだった。 カズマのムカつきは今や最高潮に達しかけていた。 それも当然だ、まさかあの相棒がいきなりあんな及び腰の腑抜けた戯言をほざくだなどとは考えてもいなかったからだ。 そう、他の誰でもなく、己の相棒であるあの君島が、だ。 それがカズマには許せず、苛立ちは益々増していく一方だった。 実に胸糞悪い。あの腑抜けた相棒の姿も、クソったれた現実も、そして我が物顔で好き勝手やってやがるホーリーの連中も、だ。 もはやそれこそ一つド派手な喧嘩でもやらないことには収まりなどつきそうにない。 本土から来たアルター使いども、丁度いい。憂さ晴らしにぶっ飛ばしてやるからかかって来いというものだ。 そいつ等がさも当然のようにこちらの前に立ち塞がるなら、それは敵だ、壁だ。 壁はぶち壊す、この自慢の拳でだ。そこには何一つの例外も無い。 「……だからよぉ」 ―――始めようぜ、喧嘩をよぉ!? そう胸中で叫ぶと共に、自らのアルター“シェルブリット”を発現し右腕へと装着させながら、カズマは目視で確認できたトレーラー目掛けて襲い掛かった。 「物資輸送の護衛、ですか?」 「うむ、それを君たち機動六課へと頼みたい」 ホーリーの部隊長室へと呼び出されたなのははそこでマーティン・ジグマールからそのような要請を請けることとなった。 無論、建前の上では増援部隊である以上はホーリーの部隊長から命じられた指示を断ることは難しく、なのはもまたこの時点でそれをする気は無い。 人手不足と陥っているらしいホーリーの手伝いを断る理由も無く、ロストグラウンドの現状をより深く理解するためにも公然と壁の外での活動が出来るのはこちらとしても望むところだ。 だが、 「本日急に、とは随分といきなりですね?」 こちらにもこちらの都合、色々とした準備がある……などとは間違っても目の前の相手を前に口に出すことは出来ないが、いきなり過ぎるというのも事実だった。 「そのことに関しては情報の行き届きがしっかりしていなかったようだ。確かに急な話になってしまってすまない」 「いえ、こちらもお世話になっていますし、そんなお気遣い無く」 謝罪を述べてきたジグマールになのはも慌ててそう返す。 別に不満があったわけではない。それに仮にも軍属が命令に異議を挟むことも許されることではない。 自分たちは機動六課ではあるが、それも立場上ではホーリーに所属している言わば同部隊の一員。お客様ではないのだ。 だからこそ拝命された以上は、 「了解しました。これより機動六課、物資輸送の護衛任務へ就かせていただきます」 責任を持って完璧にやり通す、それが彼女たちの流儀だった。 「―――高町」 聞き慣れた―――ものに非常に良く似た声に名前を呼ばれてなのはは振り返る。 「……劉鳳君。どうしたの、何か用事かな?」 其処に立っていた劉鳳を確認すると共に用件を彼へと微笑みながら尋ねる。 ホーリー部隊きってのアルター使いであり、実直そうな性格そのままの外見の彼とは色々と話をする機会が欲しいと思っていたのだが、今まで残念ながら互いにその機会は無かった。 そしてこれまた残念ながらこれから任務で出撃しなければならない以上、時間はあまり取れない だが彼の方から進んで話しかけてきてくれたのは初めてだったので、手短でも聞いておきたい興味が彼女にもあった。 「ゼブラ27地区に物資輸送の護衛任務に就くと聞いたのだが……」 「耳が早いね。そうだよ、これから私たちのホーリーでの初任務だけど、応援でもしてくれるのかな?」 だとするならば嬉しいものだ、とからかいではなく本心から言ってみた。 だが生憎と劉鳳の方は、それにいやと首を僅かに振りながら、 「気をつけろ。事によっては“奴”が襲撃を仕掛けてこないとも限らない」 それが言いたかっただけだ、と彼が言ってきたのは警告紛いの……否、実質は警告と同義の言葉だった。 劉鳳が“奴”と口にした時の表情の変化から、それを指す人物が彼にとっては特別な相手なのだということは彼女にも凡そ見当がついた。 恐らくそれは――― 「―――NP3228……ううん。カズマ、くん…だっけ?」 なのはの言葉に劉鳳はそうだと肯定の頷きを示した。 部隊内で話はなのはの耳にも届いている。 ―――曰く、互いがその名を刻み合った宿敵同士。 これまでに幾度も対決をし、劉鳳とそのカズマという男は激戦を繰り広げているのだという。 しかも劉鳳のその相手への拘りは尋常なものでないらしく、部隊内の者達ですら気安く触れられぬ話題なのだとか。 ホーリーきってのアルター使いである劉鳳ほどの男がこれ程までに拘っている、それはやはり只者ではないというハッキリとした証明だろう。 アルター能力の仔細を把握したく、なのはは一度劉鳳との模擬戦を実施したことがある。 無論、互いに制限下の上で全力を出す前に終了したが、それでも自分とあそこまで互角以上に渡り合えた劉鳳の実力をなのはは高く評価していた。 あの絶影はあれ以上の真の力を有しているらしく、そのカズマ相手には一度ソレを解放しているという話だ。 そこまでの相手、ならばその実力は紛れも無く本物。なのははまだ見ぬ相手を決して過小評価はしていなかった。 「お前たちのアルターは俺も把握させてはもらった。正直、この大地においても特にお前には早々に匹敵する相手もそうはいないだろう。だからこそ気をつけろ、あの男はその数少ない例外へとなりうる」 それに女子供だろうと容赦はしない。カズマに限らずネイティブアルターの多くはそんな野蛮さを持ち合わせている。 見かけにそぐわぬ実力を彼女たちが有しているとはいえ、傍から見れば女子供ばかりの集まり……それを危惧する部分もまた劉鳳にはあった。 だがそんな彼の心配にも、なのはは微笑みながら頷くだけ。 ただそれだけの動作だが、それなのにそれには付き合いの短い劉鳳ですら心強さを抱かせる何かがあった。 「心配してくれてありがとう。でも大丈夫、私たちを信じて」 なのはの言葉に、「……あ、ああ。そう…だな」と劉鳳は視線を逸らしながら曖昧に頷くだけだった。 その奇妙な様子に首を傾げるなのはだったが、劉鳳は伝えたいことは伝えたとそれだけを最後にこちらへと告げて早々に背を向けて行ってしまった。 素っ気無い、と言ってしまえばあまりにもその通りだ。 しかし…… 「……やっぱ似てるんだよねぇ」 その声といい、一見すれば実直だが堅物にも無愛想にも見え、けれど奥底にあるのは強い信念と確かな優しさ。 自身の兄をどこまでも年下のあの少年はこちらへと連想させてくれる。 そう思いながら、なのはは劉鳳の去り行くその背を見送っていた。 「どうかしたか、シェリス?」 「べっつに~、何でもないですよ~」 そうは言いながらも、シェリス・アジャーニの態度は明らかにどこか普段とは違うことは流石に劉鳳にも察せられた。 まぁ、その理由が偶然にも何やら彼が高町なのはと廊下で話しこんでいた姿を随分と親しげそうだなどと勘違いしてのことだとは夢にも思わないだろうが。 兎に角、これから自分たちも別地区にて任務があり赴かなければならないというのに、彼女に不機嫌になられたままでは任務に支障が出かねない。 ロストグラウンドへと磐石の秩序を制定させるためにもどんな小さな任務だろうがミスは許されない。 そんな若き使命感に燃えている劉鳳にとっては微妙な乙女心を察することなど不可能なのだが、それでも任務を全うするためにも聞かねばならない。 「シェリス、君が何をそんなに怒っているのか俺には分からない。俺に何らかの不備があったならば謝罪しよう、よければ今後の為にもその理由を教えてもらえば尚助かる」 そんな言い方で機嫌を直す女など、次元世界中探しても見つからないだろうが、この手のことに機微が皆無な劉鳳には最大限の誠意の言葉の心算であった。 こうやって気遣う言葉を選ぶだけでも慣れない劉鳳には苦心した作業だった。やはり女という存在は難しいと彼は改めて思った。 そして惚れた弱みというやつか、シェリスにしても劉鳳が苦心している様子なのは察することが出来る以上は、これ以上の我が儘な態度を取るわけにもいかない。 不機嫌でいても仕方が無かったので、諦めの溜め息を吐きながら彼女は劉鳳へと答えた。 「……ごめんなさい、私もどうかしてた。……でも、高町さんとは何を話していたの?」 それだけはシェリスにとってどうしても聞いておきたかった知りたいことでもある。 ただでさえ彼と幼馴染みであるという桐生水守という存在だけでも頭が痛いというのに、今度はまた本土からアルター使いの女(それも年上の美人ときたものだ)がやってきたのだ。正直、現状は彼女にとって気が気ではない。 高町なのは。劉鳳にも匹敵する実力を持った強力なアルター使い。 しかも彼女はあの水守同様に本土からやって来ている才色兼備の逸材だ。 ジグマールも、そして劉鳳もその実力を高く評価している相手だ。自分では正直、何から何まで勝てる気がしない。 もし彼も劉鳳に気があるなら、もし無いとしてもこれからもそうだとは断定できない以上、シェリスの憂鬱と不安はここのところ治まる兆しも見えない。 悩み多き恋する乙女であるシェリス・アジャーニにとっては、いっそのことこの堅物に早く自分の想いを気づいてもらいたいとすら思わないわけではなかった。 ……そうは言いつつも、口に出す勇気はやはりこれまで同様に無いわけだが。 そんなシェリスの内心に気づきもしない劉鳳は、ただ彼女に訊かれた言葉により、先程高町なのはと交わしていた会話の内容の核心だけを簡潔に述べた。 「大した事ではない。ただ奴が……カズマが襲撃を仕掛けてこないとも限らないから気をつけるように忠告していただけだ」 正直、劉鳳にとってはシェリスにも水守にも、そして高町なのはにも目に止めている余裕などない。 彼がいつだって見ているのはただ一人だけだ。 ―――そう、“シェルブリット”のカズマ……あの男だ。 自分に名を刻ませた、自分が倒す、自分だけの獲物。 とことんまで気に入らず、存在自体が目障りだが、それでも憎悪などと言った感情を超えた部分での純粋な拘りを誰よりも抱く相手。 劉鳳にとってカズマとはそんな男だったのだ。 「でもいくらアイツでも、彼女たちも相当やるみたいだし大丈夫じゃないの?」 シェリスにとってカズマという男は劉鳳にしつこく食い下がってくるネイティブアルターという認識しか抱いていない。 その実力は認めるが、それでも力馬鹿であることは変わらず、劉鳳が本気になれば敵ではないという認識を持ってもいた。 それに比べれば、下手をすれば本気の劉鳳を相手に比肩しかねないあの高町なのはならば負けるとは思えないと考えてもいた。 それは劉鳳とて同じ、そう考えていたのだが…… 「断定は出来ん。高町は確かに強い、俺もそれは認めている。……が、あの男の驚異的な成長速度もまた侮れたものではない」 決して高町なのはがカズマに負けるなどと思っているわけでも望んでいるわけでもない。 ただ――― 「……ふ~ん、何だかアイツを倒すのは俺だって顔だね?」 その劉鳳の表情から思わずそんな内心だろうと察し、からかい混じりに言ったのだが、 「―――ああ、それを否定する気は無い」 あっさりと認めてしまった劉鳳の言葉には今度は彼女が呆気に取られた。 それこそ本当に、劉鳳はあの男しか見ていないのだという事をシェリスは漸くにも理解した。 それこそ何て皮肉だろう、妬むべきは水守でもなければなのはでもなく、あの男だと言うことらしい。 「……高町さん、さっさと倒しちゃっていいよ」 「ん、何か言ったか?」 思わずポツリと呟いていた本音に、劉鳳は聞き取れずに聞き返してくるが彼女はそれに何でもないと微笑みながら返すだけであった。 そして内心で本気でこうも思っていた。 もしあの二人が遭遇して戦うようなら、彼女には容赦なくあの男を倒してもらいたい、と…… そんなシェリスの他力本願な願いなど知る由もなく、なのはたち機動六課を乗せたトレーラーは、目的の物資も一緒に乗せてロストグラウンドの荒野を進んでいた。 各自には非常時に備えてトレーラー内で待機を命じてはいたが、今のところ何も起きる様子も無く、車内は平穏そのものと言った様子であった。 「ねえ、ティア。この世でやっぱり一番大切なのは速さだと思うんだ」 「はいはい、そういう布教活動は他所でやってよね」 「フリード、瓜核さんの西瓜がすっかり気に入ったみたいだね」 「うん、エリオ君も良かったら食べる?」 スターズもライトニングも、両新人たちは車内にてそんな呑気な会話をしている始末だ。 いくらなんでも緊張感の欠如しすぎで咎めるべき所、と思えなくもないが一見リラックスをしている彼女たちだが次の瞬間にも異変が起これば直ぐ様に対応へと移ることは出来る。 その最低ラインは保った上での行為ではあり、何よりも自身で考え事に没頭していたなのははそれを咎めることはなかった。 なのはが思考に割いていた大部分の事柄は、やはりアルター能力に関してのことだった。 魔法とは明らかに異なるメカニズム、法則性に基づいた超常の異能力。 管理局が稀少技能と呼んできたもののどれとも異なる、多種多様に満ちた神秘の力。 その原理の詳しいことは解明されてはいないらしく、生憎と独自に調査や考察を続けているなのは自身にもその解には未だ至れない。 それでもはっきりしていること、それはやはりこのアルター能力は使い様によっては魔法同様に非常に危険な力になりかねないということだ。 この秩序の失われた大地において、無法の輩がこの能力を犯罪へと用いれば確かに脅威以外の何ものでもない。 故にこそ、ホーリーという存在もまた必要だということはなのはにも理解できる。 これまでのこの組織の活動記録には調べてみれば多少強引なところがあると彼女自身も思うところがあるが、現地組織への必要以上の介入が許されない管理局員としては口を挟むことは出来ない。 だがあのホーリーを率いるマーティン・ジグマールは八神はやて以上の食わせ者であろうことは察せられるが、決して無頼の徒と言う訳でもない。 ある程度の犠牲は容認しても、最終的に目指す部分に人々の嘆きはないはずだ、それを信じられる程度には彼女もジグマールの人格を評価している心算だった。 互いに利用し合う関係、その本質は変わらないが、少なくともホーリーとの間における六課側の協力関係はこれからも維持していくべきだろう。 ジグマールの意図や目的が気にならないわけでもない、だが自分たちは管理局員としての仕事をまず全うすることを優先させなければならない。 それこそが、過去幾度にも渡って起こっているこの世界で発生する次元震の原因究明とその解決、これをしないことには始まらない。 (鍵はやはりアルター、これは間違いないと思う) アルター能力に接し、調査を進めて行く内になのはは己の仮説の信憑性が改めて高くなってきているのではなかろうかと考えていた。 次元震の影響がアルターによるものだとしたら、それは起こしていることは間違いなく人間だということになる。 どうやって、どれほどのレベルで、その意図や目的は……早計は危険とはいえ、この仮説が当たっているのなら、これを起こしている人物とは何者なのだろうか。 その人物はアルター能力の詳細を把握しているのだろうか。 (今は情報が足りない。まだこれからも調べていく必要がある) これは思った以上の長丁場となりかねない。ミッドチルダに残してきた娘との約束を果たすのはまだまだ先となりそうだ。 それを申し訳なく思い、自身でも残念と思いながら、せめて娘が元気でいるように祈ることくらいしか今は出来そうにもない。 ……思考が私事に脱線している、それに気づき改めてなのはは思考の修正にかかる。 とはいっても現時点ではこれ以上の考察は情報不足により望めそうも無い。今は現状の任務に集中して保留としよう。 だが、とふと今回のこの急な任務についてなのはは考える。 物資輸送の護衛、何の変哲も無い管理局の任務でも何度か経験のある任務だ。 実際、警戒こそ絶やせないが問題さえ起きなければ自分たちの出番など殆ど無いと言ってもいい任務だ。 そして現実にこの瞬間においてもまた平穏そのものだ。 (……でもこのまま平穏、何事も無く終わるとは思えない) 無論、それに越したことは無い。……が、あのジグマールが何事も無く終わるような任務などを自分たちに命じるとは思えない。 自分たちがホーリーを利用しているように、ジグマールもまた自分たちを何らかの形で利用しようとしていることは明らか。 部隊長である彼だけは、なのはたちの魔法がアルターと異なるものだということをはっきり知っている。 そしてそれを何らかの別の形で活用しようとしているだろうことは彼女にも察しがついている。 だからこそ、きっとこの任務は何かが起こるはずだと警戒してもいた。 (それに何だろう? この予感は……) そう、彼女の胸の内には今日の朝からずっと正体不明のモヤモヤとした表現することも困難な何かしらの予感があった。 きっと何かが起こる。……それこそ、これからの自分たちに強く関わってくる何か……或いは、誰か。 これが出会いの予感なのだとしたら誰と、いったいこの任務中にどのような人物と――― そこまで考えかけ、咄嗟になのははいきなり立ち上がると運転席へと向かった。 予感がした、来るという予感が。 何かが……或いは、誰かが……来る。 ならばそれは――― (―――襲撃だ!) 経験則と直感、それが弾き出した答えに導かれ彼女は運転手へとハッキリと告げる。 「停まってください。それから早く扉を―――」 開けて、と最後まで言い切るのも億劫になのははそのままトレーラーの扉へと急いで向かう。 なのはのそのただならぬ様子に、新人たち四人の間にも強い緊張が走り指示を待つ待機姿勢へと変わっていた。 上出来だ、そう内心で頷きながら彼女たちには自分が出た後に、様子を見て出撃してくるように命じた。 やがてトレーラーは停まり、重い扉が今にも開きかける。 「―――レイジングハート!」 『Standby, ready.』 扉を潜り抜けると同時に、セットアップを完了し直ぐ様に飛び立ち――― 「うぉらぁぁぁあああああああああ!!」 ―――トレーラーの真上へと叩きつけるように拳を振り下ろし落下してくる男を発見した。 瞬時に、それを遮るように射線に割り込みプロテクションを展開。 男の赤い拳となのはの桜色の障壁が激突する。 未知のパワーとの衝突、その衝撃が間違いなくアルターのものだとなのはは瞬時に理解した。 「邪魔だぁぁぁああああああ!! どけぇぇぇええええええ!!」 男の拳がなのはの翳した手より展開されるプロテクションを突き破らんと勢いを増し更に押し込まれてくる。 だがなのはも負けじとプロテクションに更に力を込め、外部からの圧力を弾き飛ばしにかかる。 両者ともその力は互角と呼んでいいほどに拮抗していた。 凄まじい衝撃が周囲に波となって伝播し、拳と障壁の接触面は火花を散らすように明滅している。 それこそまるでヴィータの鉄槌の一撃を真正面から受け止めているかのような衝撃に突き崩されそうにもなるが、賢明になのははそれを許さずに弾き返しにかかる。 重装型の砲撃魔導師としての自負、それに掛けても容易く目の前の男の一撃に屈するわけにはいかない。 だがそれは恐らく相手にとっても同じ、まさに何ものをも砕くその自負を持って繰り出されているはずの拳を早々に退けるわけがない。 だからこその、これは両者にとっての等しい意地の張り合い。 「うぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 「はぁぁぁぁああああああああああああああああああ!!」 不屈の思いが激突し、勝敗を決したのは――― 拮抗を作りヒートアップしていた二人の激突。 それが行われていたのは外界の時間で言えば僅か十秒にも満たない。 突き込む拳と弾く障壁。 矛と盾にも喩えられる激突にも似たそれは、結局両者共に後方へと同時に弾かれるという形で終わった。 つまりはお互い互角、引き分けとも呼べる結果。 無論、それは互いに本気を出し合っての事ではない。先の鍔迫り合いの攻防も所詮は互いにとっては挨拶代わり以上の何ものでもない。 だが両者とも、先の激突により一つの事実を直感的に悟った。 それ即ち――― ……この女、やりやがる。 確かに全力ではなかった、だが打ち抜く心算で放った一撃だったのは確か。 そしてそう決めて打ち下ろした拳であった以上は、その結果はそうなっていなければおかしい。 だが現実にはそうならなかった。相手のアルターの予想以上の堅さを打ち抜くことが出来なかった。 言うなればそれは屈辱。……そう、あの日に劉鳳に味合わされた敗北の味の再現と同じ。 無論、負けたなどとは思っていない。今度は必ず打ち砕く、意地でもそうする。 けれど…… (……手加減できる相手でもねえか) 本気でぶつかるに値する相手、それがカズマの眼前の女に対する偽らざる評価だった。 ……この人、かなりの力だ。 確かに全力ではなかった。だが制限下とはいえ自身の頑丈さには鉄壁に近い自負があった。 重装型の砲撃魔導師として、長所として磨き上げた誇りとも呼べるものであったはずだ。 それが危うく屈しかけた。後少しでも力を抜いていれば確実に打ち破られていただろう。 言うなればそれは脅威。……久しく経験していなかった、自身を脅かすに値する危険性だった。 だが屈したわけではない。まだ自分には余力もカートリッジという切り札もある。 それでも…… (……油断は即敗北にも繋がりかねない) それだけの力量を有している、それが高町なのはの眼前の男に対する本心からの評価だった。 ロストグラウンドの反逆者と時空管理局のエースオブエース。 互いに不屈の信念を持つ両者の初会合による激突とその結果。 そして抱いた互いへの評価。 皮肉と言って良いほどに、それは酷く似通ったものだった。 だがこうして、遂に――― ―――遂にこの大地の上で、二人は出会った。 目次へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3108.html 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「………此処がロストグラウンド、か」 数多の世界を任務で飛び回り、荒廃した世界は見慣れたものだが、やはりこの殺伐とした独特の雰囲気は、ミッドチルダなどのような治安の良い世界では感じ取れないものだ。 こういう世界には必ずと言っていいほどに、荒くれ者の類が存在している。 事実、今回の任務でも仲間たちは早々にソレに遭遇し、交戦を果たしたという。 ヴィータもまたその記録映像はこちらに来る前に事前に目を通してはいたが、成程………こんな大地にならあんな奴がいたとしても確かにおかしくは無い。 名前は何と言ったか………ああ、そうそう確か『カズマ』だったっけ? 名字もなければ本名かどうかも怪しい、経歴も分からないハッキリ言ってしまえば得体の知れない相手。 「………でも、面白そうではあるよな」 映像で見た限りでも単純馬鹿、後先考えない特攻野郎とでも感じたが、正直そういう相手をヴィータは嫌いではない。むしろ個人的には好ましい部類だ。 惜しむらくは彼が敵対者であるということ。………いや、敵対する立場の方が好敵手となり面白いかもしれない。 思考が完全に自分たちの将寄りになっていることに気づき、いかんいかんと彼女は首を振りながら思考を元に戻す。 兎に角、この大地のどこかにあの男がいる。新人どもを圧倒し、あのなのはを追い詰めたあの男が……… 柄にも無いことだが、不思議とそれにワクワクしている自分が居るのを自覚する。 早く出会ってみたい、そんな風に考えてしまってすらいた。 だがそれもまだ早い。逸る欲求を抑え付け、己が立場を思い出し、自分が今すべき事を全うする必要があった。 それを忘れて向こう見ずな立場には、自分はなれないのだから……… 『ヴィータ副隊長、聞こえますか?』 その時、届いてきた念話―――部下のティアナ・ランスターの声にヴィータは肯定のメッセージを返した。 『十秒後にスバルとエリオで突入します。副隊長は取りこぼしてそっちに逃げ延びてきた相手の確保をお願いします』 「ああ、分かった。こっちは任せとけ、だから思い切り自信持ってやればいい」 随分と様になってきた現場指揮を任されている部下の声にそう応えながら、ヴィータは眼下の施設を見下ろした。 施設南部、その後方の宙域で待機している彼女は、言ってみれば現在は部下たちの捕り物劇のフォロー役である。 禁制品の違法売買を行っている小規模な犯罪集団、その壊滅にホーリー部隊として回された任務がそれだった。 援軍の着任早々にそんな任務をこなさねばならぬ事に文句は特に無い。こちらもJS事件が終わって以降は捕り物の類とは無縁だったデスクワークばかりだったので、こうして久しぶりに戦えることに文句は無い。 しかも早速アルター能力とやらを肌で感じることが出来るかもしれないのだ、得られるものの大きさから考えても是非は無い。 それに犯罪で私腹を肥やすような無法者を取り締まるのは通常業務でもあるわけだし。 だからこそ、なのはの代わりに今こうして自分が出張ってきているというわけだ。 「さて、それじゃあお手並み拝見といくかね」 念話で確認したタイミングで飛び込んでいくスバルとエリオ。 次の瞬間には襲撃に気づいたのだろう、瞬く間に慌ただしく連中が混乱して騒ぎ出しているのがこちらにまで聞こえてくる。 ミッドチルダや他の次元世界に比べてみても、犯罪集団の質そのものはお粗末といっていい。 だが何たらに刃物という言葉があるように、そう言った連中に限ってなまじ常識外の力を持っていた場合は性質が悪い。 この世界で言うなら、正にそのアルター能力とやらが良い例だ。 『すみません、副隊長。そちらに一人逃がしてしまいました。確保をお願いします』 念話で来たその要請に、ヴィータは「あいよ」と気楽に応えながら、丁度その件の逃亡者を目視にて確認でき相手に向かって降下を始める。 「時空管理………じゃなかった。ホーリーだ! 大人しくしろ!」 いつもの名乗り文句で言い間違いそうになるのを修正しながら、そう逃げてきた相手へと彼女は告げる。 どうやらホーリーという名は相手のような連中にとっては余程のものらしく、驚愕と共に青白い顔まで浮かべてくる始末だ。 まぁ此処で大人しく縛に就くなら穏便に済ませられたのだが、どうやら相手は先に述べていた何たらに刃物の類だったようだ。 歯がみをしながら睨んでいたかと思えば、どうやら覚悟を決めたらしく男はこちらとの距離を数歩取るように下がりながら、瞬間、男を中心に発生した虹色の光が周囲の岩を次々と消し飛ばし………否、分解していく。 そしてそれが終わると共に男の傍らには巨大な傀儡兵のような人形が現れていた。 「………成程、そいつがアルターって奴か」 物質を分解し再構成する能力………聞いてはいたが、実際目にしてみて彼女が感じたのはやはり魔法以上のそのデタラメさだった。 デバイスなどの機具を用いたわけでもない、プログラムされたものを展開して行使する管理局の魔法とは明らかに異なる異能。 種類別されてはいるらしいが、個人個人によって異なる明らかな多様性を持った超常の力。 つくづくデタラメだとしかヴィータには思えない。 ………だが、そんなものとやり合ってみるというのも面白い。 それがどれ程の脅威か、直接に身をもって確認してみるには良い機会だった。 目の前のコイツは、いずれ激突するであろう例の男と戦うまでの参考とさせてもらうことにしよう。 「よしいいぜ、なら―――やろうじゃねえか!」 自身の相棒、鉄の伯爵を改めて握り直しそう告げながら、鉄槌の騎士はこの世界で最初に出会った未知へと猛然と挑みかかった。 魔法少女リリカルなのはs.CRY.ed 第2話 高町なのは 「………高町、さん」 名を呼ばれ調べものに没頭するようにコンピューターの画面に見入っていたなのはは、そこで漸く相手の接近に気づき顔を上げた。 ホーリーの実行隊員とは別種の医療・作戦情報処理などのスタッフの制服を着た女性が一人、こちらを見ながら立っていた。 年の頃は自分とそう大差も無い、少し下程度、ちょうど劉鳳と同年代くらいだろうか。 ストレートの艶のある黒髪に美人と評するには充分な整った顔立ちは、その本人が持つ落ち着いた様子と合わさってか、才女というイメージを抱かせる。 なのはは彼女の名前を知っていた。此処ではちょっとしたある意味では有名人であり、良くも悪くも自分たちと同じように周囲の注目を集める立場だ。 「桐生水守さん、でしたよね?」 なのはは確信を持ちながらも一応の確認を兼ねて相手の名を尋ねる。 水守と呼ばれたその女性はなのはの問いに返答の頷きを示した。 桐生水守。 ホーリーの作戦情報処理及びアルター研究班の研修生。本土の有名大学院において七年ものスキップをしている文字通りの才媛。 だが彼女の肩書きにおいてもっと重要な意味合いを持ってくるものが他にある。 ロストグラウンドの再興に力を入れるスポンサーの筆頭、その財閥の総帥の令嬢………というのがそれに該当するだろう。 この世界へと赴く前にロストグラウンドに関連する項目には一通りの目を通しておいたが、その中には確かに桐生家の名がホーリーという組織にも関わる重要なスポンサーとして記されていた。 当然、本土側と管理局が密約を結びパイプを繋いでいる以上、桐生家もまたそれに関わってくるのは自明の理。 尤も、その本土の財閥令嬢が自らこの地に赴きホーリーに所属していたなどというのは来てから知って驚いたことの一つだった。 赴任直後の挨拶回りでも一言二言言葉を交わしあった程度であり、以降はこちらに来てからのホーリーの任務や本来の管理局の調査などで忙しく、接点も無いままにそれっきりだったが、まさか彼女の方からこちらに接触してくるとは予想していなかったので、どう対応したら良いものか正直迷ってもいた。 「何か御用でしょうか?」 なのはには彼女がどの程度までこちら側のことを知っているのかが分からない。 ロストグランドはおろか本土でも有数の権利を誇る桐生家が管理局の存在を知っているのは当然だとしても、彼女自身が現在は桐生家と何ら関わりの無い形でホーリーに所属している様子である以上、こちらの素性を知っている可能性は低い。 だが桐生家の総帥の令嬢であり、愛娘であるという評判の高い彼女が本家の方から本当に何も知らされていないのかどうかなどなのはには分からない。 実際、ロストグラウンドに来て以降、桐生水守は桐生本家との関わりを彼女自身で断っており、立場そのものも一介のスタッフでしかないのだが、高町なのははそもそも彼女とは殆ど面識も無かった以上、そのような事実を知る由もない。 故に、桐生水守がどの程度まで“こちら側”の事情に踏み入っているのかが予測が付かないなのはは彼女への対応を測りかねていた。 「………とりあえず、ここでは何なので移動しませんか?」 本土から来た噂のアルター部隊の隊長と、その本土の財閥令嬢、良くも悪くも互いに注目を集める立場にある自分たちがこうして面と向かって接触している。 当然、この場で仕事を行っているスタッフたちもそれぞれ画面を見ていながらもこちらに聞き耳を立てて注目しているのがあからさまな以上は、この場でこれ以上の話を進めるのはどう考えても得策ではない。 故にこそのなのはの提案だったが、流石は才媛と名高い彼女も己の立場を理解しているのか反論もなくそれには肯定してきた。 席を立ち、とりあえずホーリーのスタッフ専用の休憩場にでも向かうことに決めた。あそこならばここよりは密談をするにしても幾分かマシというものだろう。 さて本土のお姫様がはたして自分にどのような話があるのか、それはなのは自身にとっても気になることではあった。 最後の悪足掻きのように振るわれる巨人の豪腕、さながらこちらの接近を拒むように振り回されているソレは暴風じみたものであったのは間違いない。 わざわざ接近する危険を冒さずとも、遠距離から仕留める方法とてヴィータには持ち合わせていた。 だが今回はそれをしない………何故か、前線部隊の副隊長としては問題のある思考ではあったが、先に見せられた戦闘記録に触発されての対抗意識が彼女にそれを選ばせた。 そう、あの黄金の右腕で制限下とはいえなのはの魔法を正面から打ち破って見せたあの男………カズマの土俵がそれだと思ったからだ。 いずれは挑戦してみたい、自分たちを取り纏める将でもあるまいし、何故そんな下らない事を自分が願ったのかは分からない、見当も付かない。 だが純粋に、あの拳と正面からぶつかってみたいと思ってしまったのだ。 相手には可哀そうだが、コレはそのための前哨戦………アルターという未知の能力への挑戦を兼ねた肩慣らしだ。 「………まぁ悪く思うな」 犯罪者相手とはいえ踏み台のような扱いをすることに、良心が痛み思わずそんなことを呟いてしまったことに自分自身で驚き、苦笑を浮かべてすらいた。 だがそれも仕方が無い、実際に今の自分は公私混同だ。それは認めよう。 だからこそ、その分命じられた任務だけはキッチリと果たす。 その決意の元、相棒のアームドデバイスによるカートリッジロードを敢行。銃弾の薬莢の排出めいた機構の中、ハンマーの先端に出現したドリルが回転を始める。 そしてソレを扱うヴィータ自身もまたドリルの反対側から展開されるバーニアの勢いに合わせてその身を独楽の様に回転させ始める。 かつて、高町なのはとの初遭遇戦で彼女を撃墜せしめた一撃、それと同じもの。 「ラケーテン……ハンマァァァアアアアアア!!」 叫びと同時、強襲する赤き騎士。その回転の込められたフルスイングは巨人の振り回す腕に見事に激突し………打ち砕く。 虹色の粒子へと拡散しながら消えていく巨人。アルター能力を打ち破られたダメージが本体にフィードバックしたのだろう、能力者もまた白目を向いて倒れる。 苦戦らしい苦戦も無いまま、力押しという相手の土俵に則って撃破して見せたものの、ヴィータの表情には感慨らしきものは無い。 当然だった。所詮相手は小物、三下の雑魚に過ぎない。異能力を有しようと訓練された管理局の魔導師に通用するレベルですらない相手だ。 「………でも、テメエは違う。そうだよな」 あのなのはを地に着かせかけたほどの相手、その強大な力はこの程度の輩とはきっと比べものにすらならないはずだ。 肩に鉄槌を抱えなおしながら、戦ってみたいと改めて思う欲求をヴィータは認めていた。 この大地で珍しく闘争に餓えている己の奇妙さに、その理由にまだ彼女自身もそれが何故なのか気づくには至っていなかった。 「………それでご用件というのは?」 場所を移し、周囲に誰も近づいては来ないと判断できるロビーの片隅の席にて向かい合いながらなのはは水守へとそう尋ねる。 水守の方はなのはのその問いに、一瞬僅かばかりの躊躇を示す素振りを見せながらも、やがてこちらへと真っ直ぐに視線を向けながら口を開いた。 「高町さんは本土から来られたアルター部隊の隊長と聞いています」 「はい、本土より派遣されてきたアルター使い四名を率いる立場です。………今は、もう一人増援が着任しましたので五名ですが」 そして己を含めて六人。それが本土側より派遣された特殊部隊『機動六課』の構成と表向きにはなっている。 だがこれは着任当時に既に対外的にも知れ渡っている言わば周知の事実に過ぎない。未だ注目を集める的ではあるもののそれ以上にも以下にも意味は無い。 少なくとも、このロストグラウンドにおいては、だ。 だが――― 「失礼ですが、アルターとはロストグラウンドで生まれた新生児が数パーセントの割合で生まれ持つ特殊能力を指す筈です。貴女たちは本土出身とされていますがこれはどういう………」 桐生水守のそこまでの発言を聞きながら、高町なのはは成程と概ねを理解した。 やはり予想通り、彼女は桐生家の方からは何も知らされていない。それは当然時空管理局などの存在も知りえてはいないということだろう。 つまりは正真正銘、此処においては彼女の立場は一介のスタッフでしかないということだ。 本土の財閥令嬢とはいえ事情を知らされていない部外者である以上は、管理局に関わる情報を教えることは出来ない。 故に彼女の問いかけに対しては予め決めていた通りの答を返す他にないということだ。 「残念ですが、桐生さんには我々の素性を知り得る権限がありません。申し訳ありませんがその質問にお答えすることは出来ません」 自分でも思った以上に事務的な返答だと内心で驚きながらも、若干の後ろめたさと共になのははそう返した。 実際、なのはたち『機動六課』に関する情報は、ホーリー部隊隊長であるマーティン・ジグマールに並ぶ秘匿機密レベル扱いであり、ホーリー部隊内においてその情報の閲覧権利を持つ者はジグマール以外には存在しない。 次元世界の安定を図り、管理外世界において公の立場には現れないようスタンスを取る時空管理局においては当然と言えば当然の措置だ。 無論、局員であるなのはたち自身も管理外世界の人間においそれと素性を明かす行為は禁じられている。 しかも今回は現地においては特に慎重に行動するようにと上層部から厳命を受けている手前、普段以上にその辺りに関しては配慮を怠るわけにもいかない。 故にこそ、彼女たちは予め公開されている嘘で塗り固めた偽りの経歴以外の情報を漏らすわけにもいかないのだ。 そこに例外を挟めぬ以上、なのはが水守に対して取った対応も妥当と言えたものだった。 ………尤も、 「………そうですね。私には貴女たちの正体を知る権利はありません。ですが―――」 そう言ってそこで一旦言葉を切りながら、次に彼女がこちらに見せたのは再びの躊躇い。それも今度は若干恐れにも似たものが強く入り混じったものだった。 明らかにその言葉の続きをこちらにしてくることを躊躇っている。それを口にしてしまえばまるでもう後戻りは出来ないとでも思わせるようなものだ。 その彼女が躊躇いと同時に見せている恐れは、なのはの方にも何か嫌な予感を抱かせるには充分過ぎるものであった。 彼女は何を知っている? 何を口にしようとしている? 予測が付かぬその未知への緊張は、なのは自身にも後戻りが出来ぬような予感を抱かせる。 或いは、桐生水守がその言葉の続きを言わなかったならば。 或いは、それ以前に彼女がこちらへと疑問を問い質すようなことをしていなければ。 或いは、彼女がそのようなことを知り得なかったならば。 或いは、彼女と出会ってさえいなかったならば。 高町なのはがこの後にこの大地で取ろうとする選択は違ったものになっていたかも知れない。 ソレは或いは、後の彼女自身の運命すらもまったく変わったものともなっていたことだろう。 けれど彼女たちは出会い、 「―――ですが、貴女たちはアルター使いでもない。それだけは、私が知っている確かなことです」 そして桐生水守はその言葉を言ってしまった。 思いもがけぬ真実を意外な相手から指摘された当人たる高町なのはは――― 気づいた時には退路は全て塞がれていた。 「カズくん、今日こそ一緒に牧場の仕事に行ってもらうからね!」 その要求を突きつけてくる少女の言葉に、残念ながら逃げ道が無い事を遅すぎるこの時点で漸くに理解できた。 「分かった、分かったから服を引っ張るんじゃねえよ。何処にも逃げやしないからよ」 故に仕方ないのでそう言いながらやれやれと言った様子も顕に、カズマは服の袖を引っ張ってくる由詑かなみに対して諦めたかのようにそう告げた。 実際、今日ばかりは逃げられそうにも無い。いつも以上に必死になってこちらを連れて行こうとするかなみの姿を見ては、カズマも力づくには引き離せない。 むしろそんなことをすれば後が怖い。牧場のおばちゃんたちに受けの良いかなみを哀しませれば、彼女たちに何を言われるか分かったものではなかった。 マトモに働くなど本来ならばゴメンだし、そういうのには本当に向いていないと自分自身でも自覚しているカズマとて、今日ばかりは諦めて労働に従事する以外にないようだ。 「………本当? また途中で抜け出して仕事サボったりしない?」 前科のある身としてはいまいち信用されていないようで、実際カズマも今回もまた隙を窺い逃げ出す心算だったので釘を刺されただけなのだが、その言葉に対しても慌てて否定を示す。 「サボらない、抜け出さない。………ちゃんと今日は真面目に働くって」 そう言ったのだが、やはり彼女からすればそんな言葉もいまいち信用にかけているようだった。 「約束だよ。もう米も野菜も残り少ないんだから、ちゃんと働かないと食べる物もなくなっちゃうんだよ」 まるで幼子に言いきかせる母親のような口調で何度も牧場までの道すがらでそう言われ続けた。 それに精神的にウンザリしながらも、この時漸くに己がいかに傍から見れば甲斐性無しのロクデナシかがカズマ本人にも少し自覚でき始めていた。 「お疲れ様。皆、今日の任務もしっかりこなせたみたいだね」 桐生水守との密談を終え、六課に手配された仕事部屋へと戻ってきたなのはは、そこで丁度任務から戻ってきた部隊の連中へとそう労いの言葉をかけた。 自分は調べ物の都合で一緒には行けなかったが、合流してくれたヴィータに任務の同行は任せていたのだが、どうやら上手く事は運べたらしい。 上がってきた報告にも問題らしい問題も無い。これならばそのままジグマールへと報告書を提出しても問題はなさそうだった。 「まぁ、あたしも貴重な体験をさせてもらえたしな」 そう言ってデスクの椅子の背凭れへと体重を預けているのは副隊長のヴィータだ。着任早々の戦闘任務を問題なくこなした彼女は、アルターという能力に直に触れてみてやはり自分同様に思うところがあるようなのは直ぐに察することが出来た。 「ヴィータちゃんもお疲れ様。未知の能力との初戦闘、大変だったでしょ」 「別に。あたしがやったのはお前らが戦った奴とは比べられない程の三流だ。能力持ってても所詮は素人、間違っても後れを取るような相手じゃねえよ」 慢心ではなく自負、そして厳然たる事実としてヴィータはなのはの労いにそう本音を応えた。 管理局員として、夜天の守護騎士として、数多の歳月を数え切れない戦場で費やしてきた彼女にしてみれば、どのような特殊能力を持っていようが、訓練もマトモに積んでいない相手は素人と大差ない。負ける要素がそもそも存在していない。 それに管理局の高ランク魔導師の看板を背負わされている以上は、管理外世界の未知の相手といえどもそう易々と後れを取ることはメンツに関わる問題だ。 だからこそ、抑止力という観点から鑑みても素人の犯罪者相手に自分たちが負ける事は許されない。 「………まぁ、それに堂々と喧嘩を吹っ掛けてきてくれる相手がいるみたいだけど」 言うまでも無くそれが誰かを彼女は口にしない。口にせずとも自分も相手も分かっているからだ。 その当人………NP3228ことカズマという男の脅威性を。 「ヴィータちゃん。私たちは喧嘩をしにこの世界に来てるわけじゃないんだよ」 そのヴィータの様子から彼女が今何を考えているのか、その凡そを長い付き合いから察することの出来たなのはは嗜める様に言葉を選んで彼女へと告げる。 ………尤も、 「分かってるさ。でも向こうが売ってくるってんなら、買わないわけにもいかねえだろ?」 犬歯を剥き出しにする様な好戦的な態度で言ってくる彼女は、なのはが普段知っているものとは大きくかけ離れたものだ。 確かに守護騎士という闘争の世界で長い間生きていた彼女が、彼女たちを束ねる将と差異はあれども強敵を見つけたならば、それに興味を抱き戦いを望もうとしても可笑しなものではない。 だがここまで露骨に、それもまだ直接出会ってもいない相手をここまで意識しているというのは例に無いことだ。 その理由がなのはには分からず、それ故に少し不安にもなる。 なのは個人の見解としては、出来ればカズマとはもう二度と争いたいとは思わない。まぁ再度の激突の回避は天文学的に見ても不可能な数値であることは彼女自身にも予想が出来てはいたが、出来うるならば争いではない別の道を彼とは選び取って行きたいというのが本音だ。 しかしヴィータはそれを望んでいない。それこそ彼との正面からの激突を、そして打倒を望んでいるのは明らかだ。 彼女の強さも、そして先の戦闘でカズマの強さも身を持って知っているなのはは、出来るならば両者の激突だけは避けて欲しいところだ。ただでは済まなくなるのは目に見えて明らかなのだから。 「ヴィータちゃん、くれぐれも勝手な行動だけは………しちゃ駄目だからね」 本来ならば彼女に向かって言うべきような言葉ですらないはずだ。 けれど一応は此処で釘を刺しておかないと、後々に面倒な事が起こる原因ともなりかねなかった。故に放置できず、こうして釘を刺した。 それが皮肉にも両者の関係と対応の態度からか、傍から見ていてもそれは娘に言いきかせる母親の様子に見えなくも無かった。 なのはに対してヴィータはそういう意識は持ち合わせていない。だが何分に古い付き合いの親友の言葉である以上、悪し様には振り払えずに彼女はそれを渋々とはいえ聞き入れるしかない。 皮肉にも、それが同時刻において、自分が拘り始めている男と極めて同じ立場であるという事実を、彼女は知る由もなかった。 やはり性に合わねえ。 それが大工仕事を始めて三分でカズマが抱いた結論だった。 やはりサボるか………そんな誘惑に早々に屈しかけているが、それを早過ぎると取るか、三分はよく我慢したものだと感心するかは、カズマと言う人間を知っている者で違うことだろう。 「こらボウズッ! 何モタモタしてやがんだ! さっさと木材運んで来い!」 そんな葛藤を抱いていることなど知る由もなく、大工仕事の親方から飛んで来た怒鳴り声にカズマは慌てて木材を担ぎなおして走り出す。 金さえ積めば何でもやる、アルター使い“シェルブリット”のカズマの今の現状には自分自身でも呆れを抱いてもいた。 こんな所で二束三文の金を稼ぐためにおっさん連中に顎で扱き使われるより、よほどホーリー相手にドンパチやらかす方が彼自身にとっても有意義だと感じられる。 それでもこの場で我慢して、あえてこうして扱き使われているのに甘んじているのは、かなみの為でもあった。 何だかんだと言いながらも、カズマはかなみに対して甘い。自分に頼らず(甲斐性無しのロクデナシだが)独りで生きていけるように普段から接するように心がけている心算だが、彼女が悲しい顔をする度に胸の奥が痛み苛立って仕方が無くなる。 ここで我慢もせずにおっさん連中を殴り倒すだとか、仕事をフケるだとかすれば、それはもう間違いなくそういう顔をするはずだ。 それを見たくない、それに弱いカズマはだからこそこうして真っ当な労働に現在甘んじているわけなのだが……… (………本当に、調子が狂うったらありゃしねえ) 言いようのない苛立ちから感情に任せて力任せに釘を目掛けて金槌を振るう。 「嬢ちゃんだって頑張って働いてんだ。オメエもちゃんと働いて、オメエが養ってやらなきゃいけねえんだぞ、分かってるか」 気楽におっさんの一人がそういうと共に、回りのおっさんたちも似たような事を何だかんだと口出ししてくる。 正直、ほっとけと言ってやりたいがここら辺りのおっさんおばちゃん連中にはかなみが世話になっていることからも頭が上がらない。 だからこそ甘んじて聞いているのだが、余計なお世話であり実に鬱陶しくもある。 益々溜まっていく苛立ちに任せて金槌を振り下ろす………がそれは釘ではなく指を思いきり強打してしまった。 絶叫が晴天の青空の下に響き渡る。 やはり普通に仕事するのなんざ性に合わねえ、とつくづく実感するカズマだった。 差し出されたサンドイッチを口に運ぶ。 「………どう、かな?」 傍らで固唾を呑んで感想を待つ少女に、彼はハッキリと現実を分からせる為に告げた。 「不味い」 ストレートなその感想に、少女―――由詑かなみは「うぅ」と悔しそうに呻いて俯いてしまった。 実際はかなみの料理はそこまで不味いわけではない。むしろ世間一般的なレベルで言えば充分に美味いほうだ。 しかしカズマの味覚には合わないのか、彼はいつも少女の手料理を不味いと評する。 それが悔しいのだろう、彼女はその度に躍起になって今度こそ彼に美味いと言わせるべく料理に対して研鑽を欠かさない。 恐らくソレは、第三者が傍から見た光景とすれば実に微笑ましいものとして映っていることなのだろう。 何だかんだと不味いと言いながらも、カズマは彼女が作ってくれたサンドイッチを残さず全て食べる。 それが一応嬉しかったのだろう、少女は上機嫌な様子で空になった弁当箱を回収すると間もなく終わる昼休憩の時間を察して、仕事場へと戻っていく。 去り際に、 「カズくん、昼からもサボっちゃ駄目だからね」 念を押すようにそんな言葉を残していきながら。 やれやれと溜め息を吐きながら、カズマは木陰で寝転がり、空を見上げる。 雲一つ無い、憎らしいほどの晴れ晴れとした青空。鳥たちが我が物顔で己が領分とばかりに翼を広げて飛んでいるのも見える。 「………サボんな、か」 昼休憩は間もなく終わる。昼からも扱き使われることが確定している為、さっさと持ち場に戻っていなければおっさん連中からどやされるのは分かりきっていたことなのだが、どうにも動く気になれない。 かなみ直々に釘を刺されている以上、サボるわけにはいかない。それは理解している。 だが――― ………やっぱ、合わねえんだよな。 今日一日、といっても午前中に過ぎないが、カズマがマトモに働いてみて思った感想はそれしかなかった。 かなみが望んでいる普通の生活とやらからは切り離せない普通に働くこと。アルター能力の一切を用いず、ただ普通の人間に出来る事をする。 戦いはなく、ひりつく様な緊張も、身を裂くような痛みも無い。そんなものを経験せずとも金をもらえる。 普通ならば、それこそ皆が皆喜んで選ぶであろう道。 そう、普通ならば……… だが合わない。どうしようもないくらいに。 ムシャクシャする程にしっくりこない。 何故か?………そんなの決まってる。 ―――結局の所、やはりカズマはカズマでしかない。 骨の髄までアルター使い。これと己はもはや切っても切り離せない。 ロストグラウンドなんて荒地で生まれて十六年。親の顔もマトモな本名すらも知らぬまま、ただ只管に生き抜いてきた。 生きるためには何だってやった。奪い、傷つけ、そして壊す。 裏切りだって何度も喰らってきた。同じ穴の狢同士だ、生き残るためだからそれに文句を言う心算は無い。 それがこの大地だ、ロストグラウンドだ、カズマが生きてきた世界だ。 それは今も変わっていないはず。ガキの頃に比べれば、確かに治安は少しはマシになっている。けれど生きている世界も、そこのルールも変わっていない。 俺はそんな世界で生き続けるって決めたはずだ。誰にも頼らず、己の拳だけで、奪い、勝ち取り、そして守ると……… だって言うのにどうだ? この体たらく、これが“シェルブリット”のカズマか? 小娘のオママゴトに付き合って、下げたくもねえ頭下げて、自慢の拳を振るう機会も無く、せこせこと金を稼ぐ……… 「………なら、やめちまえばいい」 嫌ならやめればそれでいい。己を縛るものなど何も無い。この身は自由なのだから、窮屈な場所だというのなら、此処を出て行き、何処か別の場所で再び根を下ろせばいい。 このロストグラウンドにいる限り、ホーリーの相手は何処でだって出来る。 あの少女に付き合うのが苦痛なら、捨ててしまえばそれでいい。小娘一人どうなろうがそれこそ知ったことではないはずだ。 悩む必要も迷う必要も無い。今まで散々好き勝手に生きてきて、またこれからもそうやって生き続けるんだ。 ならば荷物になるものなど、全て捨ててしまえば――― 「―――なわけあるかってんだ」 一瞬でも考えてしまった、そんな思考を振り払いながらカズマは先の呟きを打ち消すように強く言葉を発していた。 ああそうさ、好きに生きてきたさ。これからだって好きに生きるさ。 好きで背負って、好きで守ってんだ。これは好きで選んだやり方だ。 だから違えない、守る。最後まで、拳を握れなくなるまで。 俺はこのやり方を、この生き方を続ける。 別に真っ当に生きようというわけでもない。アルター使いであることもやめる心算は無い。 ただ此処を出て行く心算も、かなみを捨てていく心算もないだけ。 ただ今まで通りの生活を、不満と文句を垂れながらも続ける。 ただそれだけのことだ。 我が儘かい? 我が儘だな。だが仕方ねえ。俺に関わってる連中には、そうやって付き合ってもらうしかねえ。 ………本当に、昔に比べれば少し丸くなったのかもしれない。 本人は絶対に認めたがらない事実ではあったが。 さて、本当にそろそろ戻らないとどやされる。 昼からも扱き使われる事にウンザリしながらも、カズマはかなみとの約束を守るべく、木陰で寝転がっていた状態から身を起こし――― 或いは、ソレさえ見つけなければ、約束は破らずにすんだ。 ソレさえ………アイツさえ、偶々向けた視線の先で見つけなければ。 どうしてアイツが此処にいるのか、そんな疑問は当然ある。 だがそんなものは些細なものだ、一々気にしてたらキリがない。 何が目的で、何を企んでいるか、そんなことはもはやどうでもいい。 ただ……… ただ――― 「―――面ァ拝んじまったんだ。見逃せるわけがねえ」 悪い。すまねえ。許せ。 最後に一度、胸中でかなみにそう謝りながら、カズマは躊躇うことなく駆け出す。 仕事場とは逆方向、偶然見つけたアイツ―――あの本土のアルター使いの姿を追いかけて。 もうその時点で、既に彼の表情はアルター使いのソレへと変わっていた。 高町なのはが単独でインナーの暮らす街へと赴いたのは、表向きは調査という名目だった。 だが実際は、この大地で生きている大多数の人たちの生活を良く見て知りたいと言う欲求からきた行動だったのも確かだ。 都市部で生活している限られた人たちとは違う、この大地で本当の意味で生きている住人たち。 彼らがどのように生き、そして生活しているのか。 何を信じ、何を笑い、何を悲しみ、何を糧に。 この大地で生きているのか、ただそれだけが知りたかった。 だから彼女は此処に来た。空の上から見下ろすのではなく、己の足でこの大地を踏みしめ、歩いてそれを見るために。 空に上らなければ見えないものはある。だが逆に、地に足を着けてみなければ見えないものもある。 この失われた大地で出来る事を見つけるためには、その両方が必要だ。 そう考えたからこそ、高町なのははソレを実行して此処にいるのだ。 流石に六課の制服では目立つので、当然ながらインナーに溶け込めるような服装を選んで身に着けていたが、それでも人混みに混じろうと彼女が何処か浮いた存在であるのが傍目に見ても明らかだった。 当然だろう、外見だけ取り繕ったところで彼女は実際にこの大地で生きている者ではない。言うなれば、この大地の生活に馴染んでいない、他所から来たという雰囲気をどうしても隠し切れないのだ。 コレは何も彼女が責められる事では無い。余所者が他所の土地で受ける異質感、己のテリトリーの外側に存在する齟齬、それをこの大地に来て日の浅い彼女が埋めようとしたところで埋まらないのは仕方の無いことだ。 「………でも、これじゃ失敗だね」 やれやれと己が失敗を悟り、なのはは残念そうに溜め息を漏らす。 これではろくな調査はおろか、警戒されてマトモなコミュニケーションすら現地のインナーと取れそうに無い。 明らかに遠巻きに警戒されながら見られていても、この事態に進展は無い。 どうやら出直した方が賢明のようだ。次なる課題はどうしたらインナー間に溶け込めるかどうかということになるだろう。 だがこれはある意味で最大の課題であるのかもしれない。 アルター能力を調べるのと同じくらい、なのははこのロストグラウンドで人々に何かをしてあげたいという思いが強い。 それは先にあったある出来事とも関係して、顕著にもなってきていた。 だが調査と違い、こちらの目的はこうも彼らとの間に溝が深いままではどうしようもない。 まさに異文化の壁、此処でそんなものに遭遇しようとは予想外だった。 「………先はまだまだ長そうだね」 だが諦めない、必ずこの溝だって埋めて見せよう。 確かに大人になって諦めの分別も付けるようになったが、それでも相も変わらず一般の定義よりも彼女の諦めは悪い。 何よりも、この問題を諦めるべきレベルだと彼女自身が捉えていないという理由も大きかった。 故に、この場は戦略的撤退もやむを得ないが、次こそはもっとインナーの人々と歩み寄って見せると決意しながら踵を返し、 「―――よう、また会ったな」 そう言いながら不敵に笑う反逆者に出会った。 目次へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3108.html 前へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3154.html 次へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3155.html
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